著者
山本 博志 栃木 勝己
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.117-122, 2007 (Released:2007-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3 5

環境化学的な観点から環境ホルモン等の極性化合物の室温付近での蒸気圧の推算は非常に重要である。蒸気圧の推算にはClausius-Clapeyron式を改良した様々な蒸気圧式が知られている。これらの式は沸点以上では非常に精度が高いが,1 Pa~100 Pa付近の低圧で極性物質の蒸気圧を精度よく推算できる蒸気圧式は知られていない。そこで蒸気圧が沸点や臨界定数の多項式で表せると仮定して,その係数を算出するプログラムを作成した。そのような非線形方程式の係数の組合せは多数存在しグローバルミニマムの解を見出すのは難しい。我々はこの係数を算出するのに遺伝的アルゴリズムを用いた。多項式展開型の蒸気圧式の係数をこのプログラムを用いて決定し,極性化合物の低圧領域に適用したところ,Riedelの蒸気圧式よりも低圧領域で優れた推算式が構築できた。また,蒸気圧の補正係数として重要な偏心因子を,Edmisterの偏心因子より精度が高く推算する式を構築した。