著者
Franck Dumeignil Mickaël Capron Benjamin Katryniok Robert Wojcieszak Axel Löfberg Jean-Sébastien Girardon Simon Desset Marcia Araque-Marin Louise Jalowiecki-Duhamel Sébastien Paul
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.257-273, 2015-09-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
189
被引用文献数
2 28

Biomass valorization is a booming field. Especially, the valorization of platform molecules by catalytic processes has driven a large interest in the recent years, and many groups are actively working on the transformation of biosourced substrates to a variety of upgraded chemicals. In this context, in the present paper we put in perspectives the scientific works of our research team. We first classified catalytic transformations of industrial interest according to the number of carbons of the starting material, from C1 to C6. They involve, among others, acid catalysts (e.g., for glycerol dehydration), redox catalysts (e.g., for 5-HMF conversion to diformylfuran), acid and redox catalysts (e.g., for direct acetalization of alcohols), or complex multifunctional catalysts, especially for the Guerbet reaction. Further, we also developed what we called ‘toolboxes,’ which are general concepts or technologies with a broader field of applications. For example, we adapted the two zones fluidized bed reactor (TZFBR) concept to the single reactor continuous regeneration of coking catalysts. Further, we designed a completely new high throughput platform enabling synthetizing, characterizing and testing the performances of many catalysts for considerably accelerating the catalysts discovery/optimization loop.
著者
竹村 邦夫 用田 裕樹 岩崎 正利 木村 康弘
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 創立50周年記念国際シンポジウム/第38回石油・石油化学討論会
巻号頁・発行日
pp.138, 2008 (Released:2009-01-05)

カルシウムスルフォネートコンプレックスグリースは耐熱性、極圧性、耐摩耗性、耐水性、錆止め性などの点で優れた性能を有しており、産業機械での実用化が進みつつある。 これらの諸性能が産業機械の潤滑にどのように生かされているか、その実用例について報告する。
著者
池田 陽一 秋山 勝宏 岩本 正和
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第59回研究発表会
巻号頁・発行日
pp.47, 2010 (Released:2010-07-19)

水素加圧、水熱条件下でセルロース分解反応について、有効な触媒、反応条件を検討した。その結果、貴金属系触媒(Ir, Pd, Pt, Rh, Ru等)を用いると、セルロースの加水分解、水素化反応が促進され、C2-C6の第一級アルコール、及びC2-C6のジオールが生成した。特に、IrCl3触媒は高い活性を示し、アルコール類約20%、ジオール類約10%収率であった。中でも1-ヘキサノール(収率11%)とエチレングリコール(収率4%)はかなり選択的に生成した。(195字)
著者
上田 耕造 松井 久次 MALHOTORA Ripudaman 野村 正勝
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.62-70, 1991
被引用文献数
3

石油精製の過程で副生する減圧残さ等の重質油を熱分解や水素化分解により使いやすい燃料に変換する接術開発において, 反応物の化学組成に関する情報は重要である。減圧残さは分子量の大きい複雑な炭化水素の集合体であり, 原産地が違えばその化学組成が大幅に違い, 熱分解や水素化分解に対する反応特性も異なったものとなる。減圧残さをキャラクタライズする方法としては組成分析法やNMRによる平均構造解析法があるが, プロセスの過程における化学組成の変動や得られる生成物の性状を理解するためには原料油の複雑なマトリックスの中から反応により大きく影響をうける化合物群を抽出し, その割合や同族体の炭素数分布といった化学組成について詳細で定量的な情報が必要である。石炭液化油についてはHPLC/FI-MSを組み合せた方法を用いてこれまで相当詳しく調べられているが, 石油系重質油については非常に複雑な化学組成をもつため研究例が少ない。HPLC/FI-MSによる分析で最も詳細な研究は Bodusznski1) が vacuum gas oil (650~1,000°F) を蒸留によりせまい範囲の留分にカットし, その各留分を更にHPLCで分離した後, FI-MSの測定により化合物群を同定したものがある。また減圧残さ (>1,000°F) については, 飽和成分2)やペンタン可溶分1)で試みた例があるが全成分についての詳細な分析例は見当たらない。<br>我々は既報3)で述べたHPLC/FI-MSによるコールタールの化学組成のルーチン分析システムをより複雑な化学組成をもつ減圧残さに適用できるようにHPLCの分離スキームの改良を行い, アラビア原油の減圧残さを対象に全成分の分析を行った。HPLCの分離では試料油をシリカゲルカラムにより予備的に4フラクションに極性分離した後, 飽和成分と芳香族成分はさらにシアノカラムで, 極性成分はイオン交換樹脂により22のサブフラクションに分離した。これらサブフラクションのFI-MSデータはMW (分子量)=14<i>n+U</i> (<i>n, U</i>: 整数, -11≦<i>U</i>≦2) として14カラムをもつパターンテーブルに整理した。同族化合物群がグルーピングされているパターンテーブルをもとに試料油の含有成分を帰属可能な75の化合物群に分類した。化合物群への帰属にはFT-IR, NMRおよびUVを補助的に使用した。本方法の有用性を確認するため, パターンテーブルに示されている各化合物群の分子量分布データから試料油中の各元素の存在割合 (wt%), %C<sub>ar</sub>, %H<sub>ar</sub>, 数平均分子量を計算し, 元素分析値や<sup>13</sup>C-NMRより求めたそれらの実測値を比較した。硫黄を除く各元素の含有割合および数平均分子量の計算値と実測値が比較的よく一致することがわかった。硫黄の量が少なかったのは試料油中に含まれている硫黄化合物をチオヘンタイプのみに注目したためであり, また%C<sub>ar</sub>値が計算値と比較して低いのは, 試料中にFI-MSによる分析が不可能な不揮発性の多環芳香族クラスターが含まれることによると推察される。
著者
松井 徹
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.171-174, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

芳香族有機硫黄化合物であるチアンスレン(TA)はジベンゾチオフェン(DBT)脱硫細菌Gordonia sp. TM414株とRhodococcus erythropolis KA2-5-1株により分解されたが,ベンゾチオフェン脱硫細菌Rhodcoccus jostii T09株には分解されなかった。当該培養液の酸性酢酸エチル抽出液を分析したところ,TA-スルホキシド,TA-スルホン,2-phenylsulfanylphenolが検出され,DBT分解に関して報告されている4S経路と類似の分解経路であることが示唆された。チアンスレンの脱硫は,Gordonia属細菌に類縁のRhodococcus 属細菌を用いても可能であることが知られた。
著者
高鍋 和広
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-12, 2012 (Released:2012-03-01)
参考文献数
72
被引用文献数
14 45

天然ガスの転化技術は現在のエネルギー需要を満たすのに必要不可欠なものである。本総合論文では二酸化炭素によるメタン改質反応とメタンの酸化カップリング反応の二つの反応に関して,反応機構解析に焦点を当て,高い活性かつ長寿命の触媒開発に関する議論を行う。本論文で議論される基礎的見解は工業用触媒の開発に有効な指針を与えるであろう。メタンの二酸化炭素改質はいくつかの天然ガス田に多く含まれる二酸化炭素を反応物として有効利用できる。触媒開発の最大の問題点である炭素析出に関して議論する。メタンの酸化カップリング反応はメタンからエチレンを一つの発熱反応により製造可能にし,プロセスの資本コストを大幅に下げることが期待される。厳密な反応速度解析によるC2の炭化水素最大収率を議論する。
著者
澤田 太一 山田 徹
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.121-128, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
30
被引用文献数
4

反応時間の短縮 · 副反応の抑制 · 収率の改善などを目的としたマイクロ波の有機合成反応への利用が今日活発になされている。マイクロ波による加熱は反応系内部から迅速に起きるため,一般にこれらの利点は熱的効果によるとされる。一方で,単純な熱的効果のみでは説明が困難な現象も報告されている。最近我々の研究グループは,いくつかの不斉合成反応がマイクロ波照射によってエナンチオ選択性を保持したまま加速されることを報告した。これらの結果は単純な熱的効果では説明することができず,マイクロ波特異効果(非熱的効果)の寄与が実験的に明らかとなった。ここでは我々のマイクロ波特異効果に関する最近の研究成果,すなわちビアリールラクトン類の不斉開環反応,光学的に純粋なビアリールラクトン類のラセミ化反応,不斉Claisen転位反応,不斉Conia-ene反応,閉環メタセシス反応における検証結果を紹介する。
著者
港谷 昌成 原 貴子 坂本 直一 笹木 敏行
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 創立50周年記念国際シンポジウム/第38回石油・石油化学討論会
巻号頁・発行日
pp.62, 2008 (Released:2009-01-05)

コンビナートルネッサンス構想の一環として、水島コンビナート地区に「一般的に行われている各留分毎の水素化脱硫プロセス」よりコスト的に有利である「新規一括脱硫プロセス」を開発し、2009年度より稼働予定である。本発表では当該新規一括脱硫プロセスの概要を示すと共に、プロセスの優位性について報告する。
著者
吉田 充宏 佐藤 信也 松村 明光 鷹觜 利公
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.182-182, 2010

実験室におけるアスファルテンの溶剤分別において、目詰まりの問題のあるろ紙を用いる分離や、高価な高速遠心分離機を用いる方法に代わる手軽な方法として、テフロン製充填剤を用いて比較的多量のアスファルテンのカラム分離法を考案した。アスファルテンの構造解析を行うために、10gの減圧残油から回収を行うことを目的として、カラム内径、充填剤とアスファルテンの回収量の相関を検討した。アスファルテンの回収可能量はカラムの断面積に比例して増加し、内径30mmのカラムで10gの残油を処理できる見通しがついた。
著者
持田 勲 光来 要三 坂西 欣也 藤堂 義夫 大山 隆
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.101-106, 1991

比較的パラフィニックなFCCデカント油 (FCC-DO) との共炭化において, 低硫黄減圧残油 (LSVR) を熱処理することによってボトムモザイクコークスの消去を試みた。その結果420°C(1~5h) という非常に限られた条件でLSVRを熱処理するとモザイクコークスが消去できた。熱処理によってLSVR中のアスファルテン分が分解され, ベンゼン不溶分やメソフェーズをわずかに生成するのみで, 芳香族性を向上させることができた。こうした熱改質は, アスファルテン成分の炭化時の熱安定性とFCC-DOへの溶解性を向上し, 炭化初期におけるメソフェーズの相分離が抑制できるため底部モザイクが生成しないのであろう。
著者
望月 ちひろ 宍戸 哲也 石田 玉青 春田 正毅 村山 徹
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第49回石油・石油化学討論会(山形大会)
巻号頁・発行日
pp.208, 2019 (Released:2019-12-31)

バイオマスから得られる重要な基幹化合物である5-ヒドロキシメチルフルフラールを選択酸化することで得られる2,5-ジフォルミルフランは、医薬品, 機能性ポリマー合成の重要な前駆体である。本研究では、アルコール酸化反応の光触媒として知られるNb2O5に様々な金属ナノ粒子を担持しHMF選択酸化反応を検討した。この結果、Nb2O5のみに比べAuナノ粒子を担持することで活性・選択性の向上が確認されたので報告する。
著者
大山 順也 平山 愛梨 芳田 嘉志 町田 正人 加藤 和男 西村 俊 髙橋 啓介
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.180-184, 2023-09-01 (Released:2023-09-01)
参考文献数
14

CuゼオライトはCH4の部分酸化反応触媒として機能する。これまでに筆者らは様々なCuゼオライトのCH4部分酸化反応に対する触媒活性を評価し,Cu-CHAとCu-MORが比較的高い性能を示すことを明らかにしてきた。さらに,Cu-CHAとCu-MORの酸化還元挙動をin situ Cu K-edge X線吸収微細構造(XAFS)分光法を用いて評価してきた。本研究では,CO2選択性が高かったCu-MFIについて,in situ XAFS分光法を用いて解析し,その酸化還元速度を評価した。Cu-MFIのデータとこれまでのCu-CHAとCu-MORのデータを合わせて,Cu2+/+の酸化還元速度とCH4酸化活性および部分酸化物選択性の関係について調べた。その結果,Cu2+からCu+への還元速度はCH4酸化活性と強い相関があることが確認できた。これは,CH4のC–H活性化の際にCu2+が還元されるためである。一方,Cu2+/+の酸化還元速度と部分酸化物選択性との間には相関は認められなかった。
著者
齋藤 直哉 木村 信啓 濱松 辰雄
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 創立50周年記念国際シンポジウム/第38回石油・石油化学討論会
巻号頁・発行日
pp.9, 2008 (Released:2009-01-05)

当社ではC4留分を二量化してイソオクテンを製造するプロセスを開発し、商業生産を開始している。本プロセスで用いる触媒は、自社開発の新規リン酸触媒であり、高い二量体選択性を持つ。得られたイソオクテンのリサーチ法オクタン価は115ときわめて高く、ガソリン基材として利用できるほか、ジイソブチレンを高濃度に含むため、化学品の原料としても有用である。
著者
緒方 理人 内田 晴久 原田 亮
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第49回石油・石油化学討論会(山形大会)
巻号頁・発行日
pp.155, 2019 (Released:2019-12-31)

現在、脱炭素社会に向け、再生可能エネルギーを起源とした水素エネルギーが期待されている。しかし、水素エネルギー社会を構築する上では、膨大なコストと時間が必要とされている。そこで、二酸化炭素を循環型炭素資源として位置づけ、メタネーションを通じた水素エネルギー利用の可能性を探ることとした。本発表では、メタネーションにおける触媒として、水素吸蔵材料であるLaNi5を用いて、水素を用いた二酸化炭素のメタネーションについて実験的検討を行った。
著者
原田 梢平 茂木 堯彦 里川 重夫 小倉 賢
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.233-243, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)
参考文献数
50

カーボンニュートラル実現に向けて,CO2水素化による燃料油合成技術が注目されている。CO2を原料としたフィッシャー・トロプシュ合成にカリウムを添加したコバルト系触媒を用いることで,炭素鎖が成長し液体炭化水素が生成され,同時にメタン生成が抑制されることが報告されている。一方で,カリウム添加による活性変化の詳細は明らかにされていない。本研究では,赤外分光法,X線光電子分光法を用いカリウム添加コバルト触媒の表面状態を分析し,カリウムがもたらす効果を詳細に調査した。カリウム添加によりコバルト表面が還元雰囲気下でも部分的に酸化された状態を維持し,CO2吸着サイトとなる弱塩基点として作用することが明らかになった。カリウム添加コバルト系触媒では,反応ガスのH2/CO2比を1にすると,液相生成物選択率が53 %となった。また,得られた液相生成物には有用化学品原料となり得る1-アルコールや酢酸が含まれていた。
著者
西澤 翔 北村 重浩 竹口 昌之 蓮実 文彦
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 創立50周年記念国際シンポジウム/第38回石油・石油化学討論会
巻号頁・発行日
pp.144, 2008 (Released:2009-01-05)

メタンは温室効果ガスであるが、その温室効果は二酸化炭素のおよそ21倍もある。現在も大気中のメタン濃度は増加し続けており、その対処法が急速に望まれている。本研究では、メタンを唯一の炭素源として生育するメタン資化細菌のメタン代謝能を利用して、温室効果ガスであるメタンを固定化できるバイオリアクターを構築することを目的とした。本実験では、約1%程度のメタンを効率よく固定化できるメタン資化細菌の探索を行った。また、天然土壌によるメタン固定化能力について検討した。
著者
加藤 進
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第43回石油・石油化学討論会 (北九州)
巻号頁・発行日
pp.169, 2013 (Released:2014-01-14)

沖縄本島南部には、島尻層群豊見城層の砂岩層に水溶性天然ガスが存在することが昭和30年代から知られており、一時その開発が試みられたが、不成功に終わった。那覇市およびその周辺で掘削された温泉井の一部は基盤岩まで掘り込んでおり、かなりの量のメタンを伴うことがある。このメタンは炭素同位体組成から熱分解起源ガスと推定され、宮崎県の日南・宮崎ガス田に類似した、基盤岩を貯留層とする新しいタイプの水溶性ガス鉱床が期待される。
著者
松本 崇弘
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.134-139, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
42

錯体化学は,長い歴史の中で,経験則 · 物理化学 · 量子化学に基づく金属錯体のデザイン合理性「錯体化学的スマートデザイン」を確立してきた。これまでに報告されてきた数多くの金属錯体は,論理的に説明可能な設計原理に基づいて,その機能や性質の発現機構を理解することができる。本論文では,ターゲット反応を誘起するデザイン合理性により達成したいくつかの代表的な研究,特に酸素 · 水素 · メタンの変換反応について解説する。酸素を酸化剤とする芳香族環の水酸化 · スチレンのエポキシ化 · C–H結合の酸化は,二核銅酸素錯体を合理的にデザインすることで誘起させることができる。水素の酸化と酸素の還元は,二核ニッケル · 鉄錯体のバタフライ構造によって促され,水素燃料電池の電極触媒への展開も可能とした。酸素を用いるメタンの変換は,有機ルテニウム錯体に光エネルギーをインプットすることで発現する高い酸化力によって達成している。
著者
坂 祐司 木村 哲也 永井 健司 千代田 範人 田畑 光紀
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

近年、石油需要構造変化に伴い、FCC装置に おいて石油化学原料であるライトオレフィンの増産が求められている。FCC装置においてライトオレフィンを増産するためにはFCC本体触媒に酸強度の強いゼオライト(例えばZSM-5など)を含有した触媒粒子(アディティブ)を用いることで対応することできる。本報では触媒性能が異なるFCC本体触媒に対しライトオレフィン増産アディティブを添加した際の添加効果を検討したので報告する。