著者
木之瀬 隆 栗原 トヨ子 寺山 久美子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.223-225, 1999-12-25 (Released:2017-10-27)
被引用文献数
1

車いすの適合の基本は使用者の身体寸法と合わせることである。しかし, 高齢障害者では既製の普通型車いすを用いることが多く, 座位姿勢や車いす操作について不具合が生じる。座位姿勢では仙骨座りや褥瘡が発生し, 社会的には車いす座位の身体拘束の問題まである。一般に普通型車いすはJIS規格大型が使用され, 高齢障害者の身体寸法と比較すると不適合が予測された。今回, 高齢者の身体寸法と普通型車いすの適合範囲について検討した結果, 70歳台の高齢障害女性では, 肘掛け, 座幅, 座奥行きについて不適合が明らかになった。
著者
栗原 トヨ子 澁井 実 森谷 陽一 長崎 重信 安永 雅美
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.32-42, 2014-06-25

我々は高齢障害者の作業療法(Occupational Therapy:以下OT)活動への参加とストレスとの関連について明らかにする目的で,客観的な指標として「唾液アミラーゼ活性モニター」を用いて,開始時と終了後に測定を試みた。その結果,参加者14人のうち,開始時よりも終了時の活性値が減少した人は10人(71.5%)で7割以上の人が減少していた。アミラーゼ活性値が減少した要因について挙げると,便秘薬服用者および編み物以外の作業種目をしている人が有意に減少していた。作業療法室および居室での主観的満足感を測る調査として用いたフェース・スケール得点は,アミラーゼ活性値の減少と負の相関を示した。編み物活動の人は他の活動の人よりも終了時のストレス値は減少しない傾向にあったが,編み物活動参加者の大半の人がOT室でのフェース・スケール点を「大変満足」と答えていた。したがって編み物をしている人たちにとって,適度な集中・緊張の持続は「難しい作業をこなしている」という満足感(充足感)につながっていると考えられた。