著者
栗原 智昭
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.187-193, 2010 (Released:2011-01-26)
参考文献数
25

九州のツキノワグマUrsus thibetanus個体群は絶滅した可能性が高いという意見がある一方で,地元での目撃情報は少なくない.2000年5月から2010年4月の10年間に得られた目撃情報の中から,7つの判断基準に基づき信頼性が高いと判断されるものを抽出したところ,祖母山系宮崎県側での6件のべ8頭の目撃情報がこれに該当した.クマ類である可能性は,極めて高い3例,十分高い1例,高い2例であった.これらの証言のみから目撃された動物をツキノワグマと断定することはできないが,野生のクマ類の生息が強く示唆された.
著者
栗原 智昭
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.187-193, 2010-12-30
参考文献数
25

九州のツキノワグマ<i>Ursus thibetanus</i>個体群は絶滅した可能性が高いという意見がある一方で,地元での目撃情報は少なくない.2000年5月から2010年4月の10年間に得られた目撃情報の中から,7つの判断基準に基づき信頼性が高いと判断されるものを抽出したところ,祖母山系宮崎県側での6件のべ8頭の目撃情報がこれに該当した.クマ類である可能性は,極めて高い3例,十分高い1例,高い2例であった.これらの証言のみから目撃された動物をツキノワグマと断定することはできないが,野生のクマ類の生息が強く示唆された.<br>
著者
安田 雅俊 栗原 智昭 緒方 俊輔
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.41-45, 2012 (Released:2012-07-18)
参考文献数
11

九州において絶滅のおそれのある国の特別天然記念物カモシカCapricornis crispusの生息記録を宮崎県北部の高千穂町において収集し,1996–2011年にかけての目撃,自動撮影,死体,個体保護からなる生息記録13件を得た.それらの生息記録と地形との関係をみたところ,カモシカは標高400 m以上に分布し,最大傾斜角32度以上の急峻な地形を好むことが示唆された.カモシカ九州個体群の保全のためには,さらに広域に生息記録を収集するとともに,植生等のその他の重要な環境要素を加えた,九州における本種の潜在的なハビタットをより正確に判定するモデルを開発することが望まれる.