著者
栗山 佳恵 山本 勝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.737-746, 2008-09-30
参考文献数
15

1988年から2006年の寒候期(11月から3月)において,那覇では「吹き出し開始初期から厚い北風層が卓越し,それが維持されるもの(N型)」と「吹き出し開始から下層の北風層が徐々に発達するもの(S型)」の2つの寒気吹き出し構造が見られた.そこで,その経年変化や特徴的な気圧配置を明らかにし,海面水温(SST)や冬季モンスーンの経年変化と那覇周辺域の寒気吹き出し構造の関係を調べた.寒候期平均のNINO3海域SST平年偏差は1000hPa南北風と相関が高く,00/01年までの降水量とも相関が高い.また,那覇周辺海域のSSTは海面気圧や1000hPa比湿と相関が高く,北極振動指数は900hPaの相対湿度と相関が高い.さらに本研究では,総観規模の気象解析もおこなった.寒気吹き出し初期の500hPaの太平洋高気圧の張り出しがS型とN型の構造を決定づける.また,エルニーニョと関連して東シナ海上空500hPaの南風が強い冬季では,S型が卓越する.