著者
上塚 芳郎 三浦 芳則 栗山 正子 伊藤 直人 田中 直秀 木全 心一 広沢 弘七郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.1450-1455, 1988-12-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
5

41歳の女性で,子宮筋腫からの不整性器出血のため,Hb1.4g/dlと高度の貧血を生じ,心不全,心停止をきたし,心肺蘇生術により蘇生し得た1例を経験した.本症例は,心エコーの記録から,発症急性期には拡張型心筋症のごとく,左室の心筋収縮が全体的に低下しており,また左室腔の拡大も著明であったが,3カ月後には貧血の改善とともに左室壁運動の改善が認められた.また,回復期に右室心内膜心筋生検を施行したが,心筋細胞の大きさのばらつき,配列の乱れや核の変形が認められた.これらの変化は,慢性貧血による心筋障害または心停止→蘇生の際の心筋障害による変化と考えられた.