- 著者
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天田 明男
栗田 晴夫
- 出版者
- 日本ウマ科学会
- 雑誌
- 日本中央競馬会競走馬保健研究所報告 (ISSN:03685543)
- 巻号頁・発行日
- vol.1975, no.12, pp.89-100, 1975
競走馬における発作性心房細動の発症の実態を知る目的で,レースで1着馬から大差で遅れてゴールインした馬について心電図学的調査を実施した。調査は,1973年4月から11月までの8カ月間,京都,阪神,中京の各競馬場における出走馬を対象として行った。その結果,サラブレッド競走馬5例に発作性心房細動を認めた。心房細動は,いずれの症例もレース中に発症したが,23時間以内に洞調律に自然に復帰した。5例のうち2例において,,洞調律復帰後の心電図に心房性期外収縮が認められた。<BR>いずれの症例も,洞調律復帰後ただちにトレーニングを再開し,心房細動発症以前と同様の競走成績をあげ得た。しかし,5例のうち1例は,5カ月後に心房細動の再発が認められた。<BR>これらの症例の観察から,競走馬における発作性心房細動の病因,臨床的意義などについて考察した。