著者
本水 昌二 桐栄 恭二
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.213-218, 1978
被引用文献数
5 9

第4級アンモニウムイオンと金属錯陰イオンとのイオン対の溶媒抽出系に適当な1価陰イオンを加えることにより,過剰の試薬を有機相から水相に移し,目的とする金属錯陰イオンのみを選択的に抽出することができる.これにより,今まで不可能であった波長での吸光光度定量も可能となり,又感度,再現性もよくなる.この原理により,2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸(ニトロソーNW酸)を用いる銅の吸光光度定量法を確立し,鉄鋼試料中の銅の定量に応用した.<BR>すなわち,鉄鋼試料を王水で溶解し,過剰の酸を加熱除去した後定容とし試料溶液とする.この一定量を抽出管に取り,アスコルビン酸で銅を還元し,塩化物イオンの存在下,ゼフィラミンークロロホルム溶液と振り混ぜて銅(I)-クロロ錯体を抽出する.有機相に希過酸化水素水とニトロソ-NW酸溶液を加え振り混ぜて銅(II)-ニトロソ-NW酸錯体を抽出する。有機相を0.35M塩化ナトウリム溶液(pH9)と振り混ぜ過剰の試薬を除去した後,307.5nmで吸光度を測定する.この波長におけるモル吸光係数は4.5×10<SUP>4</SUP>1mol<SUP>-1</SUP>cm<SUP>-1</SUP>である.この方法により,NBS鉄鋼標準試料中の(0.06~0.35)%程度の銅が定量された.
著者
善木 道雄 伊藤 利之 桐栄 恭二
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.T89-T92, 1990-06-05
被引用文献数
1 5

市販のリンゴ酸及びアップル飲料中に含まれるフマル酸についてUV検出器を使用したHPLCで定量する方法について検討した.分離カラムとしてTSK-gel, ODS120Aを使用し, 移動相としては0.1M過塩素酸ナトリウム, 0.01Mリン酸二水素メトリウム(pH2.6)を用い, 210nmで検出した.フマル酸5.0×10^-7〜2.0×10^-5Mの範囲で検量線は直線を示し, 4.0×10^-6,1.0×10^-5Mの5回繰り返しによる相対標準偏差は, それぞれ0.35,0.19%であった.又この方法によるフマル酸の定量限界(S/N=2)は2.0×10^-7M程度であり, リンゴ酸及びアップル飲料の回収率は98.2〜104.5%であった.本法を市販リンゴ酸及びアップル飲料18種の定量に応用した.