著者
桑島 勝雄
出版者
東北地理学会
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.115-131, 1986
被引用文献数
1

東北6県における保育所の分布を, その定員数, 児童収容率を指標として, 各市町村単位でみると, 次のような傾向や関係が表われている。<br>1) 保育所定員数および同児童収容率において, 県単位では, 両者の値の高い市町村のその県に占める割合は, 青森県が最も高く, 次いで, 岩手, 秋田, 山形の各県がほぼ並び, その下に宮城, 福島両県が位置しているという, 北高南低の傾向がみられた。<br>2) また, これらの地域格差の生ずる要因として, 0~4歳児人口, 共稼夫婦核家族世帯数 (0~6歳児を有する), 児童福祉予算の3要素が, 保育所定員数と正の相関を有していることが判明した。<br>3) 保育所児童収容率において, 全般的に市部は低率であり, 町村部は高率を示している。そして, 高率町村の大部分は過疎地域に位置している。<br>4) 保育所定員数に大きな影響を与える幼稚園の在園児童収容率においては, 高率市町村のその県に占める割合は, 宮城, 福島両県がともに高く, 次いで, 山形, 秋田, 岩手各県がほぼ並び, そして, 青森県が最低という, 南高北低の傾向を示している。<br>5) また, ベビー・ルームなどの無認可保育施設が, 中心都市およびその周辺の市町村に進出し, 保育所機能の一端を担っている。<br>6) そして, 各県において, 保育所定員および幼稚園, 無認可保育施設在籍児童の3施設の総和の児童数は, 0~6歳児数に対する割合においては, 各県とも, ほぼ総数の3分の1が, 上記施設のいずれかに在籍している割合になっている。