著者
森 博士 荒牧 聡 柴田 英治 桑鶴 知一郎 内村 貴之 吉野 潔
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.512-516, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
15

梅毒の初回治療時にJarisch-Herxheimer反応(以下J-H反応)を呈する例があることが知られているがその機序は不明である.一般的には一過性であり24〜36時間以内に軽快する.妊娠中に発生した場合の確立した対応法はない.今回,妊娠37週に第1期または第2期の妊娠期梅毒と診断して初回治療開始から3.5時間後にJ-H反応を認めた症例を経験した.母体発熱と悪寒,全身発赤,子宮収縮の増加,CTGで胎児頻脈を認め,速やかに帝王切開で児を娩出し,母児ともに良好な経過であった.妊娠中の初回梅毒治療時の管理とJ-H反応を認めた場合の適切な対応について,今後も症例の蓄積と検討が必要である.