著者
木皿 憲佐 桜田 忍 只野 武 桜田 司 丹野 孝一 碓井 千春 北野 裕 高砂 浄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.269-280, 1993 (Released:2007-02-06)
参考文献数
8

イオヘキソール及びイオパミドールの静脈内投与時の中枢作用9項目((1)一般症状,(2)自発運動量,(3)直腸体温,(4)電撃痙攣,(5)抗痙攣,(6)脳波,(7)催眠増強,(8)筋弛緩,(9)抗侵害刺激)について比較検討した.(1)一般症状観察の項目の内で驚き反応に対するスコアはddY系のマンニトール投与群で0であるのに対しICR系では0.6と高い値であった.さらに,両造影剤投与による驚き反応はマンニトール投与群との間に明らかな差は認められなかった.(2)自発運動量に対してはイオパミドールの1750mgI/kgで抑制作用が認められた.チオペンタールナトリウムの(7)催眠作用に対してイオヘキソールの7000mgI/kg投与によって催眠作用の増強が認められた.(3)直腸体温及び(4)電撃痙攣に対して両造影剤の高用量において正常体温の下降作用と電撃痙攣による死亡率の有意な上昇が引き起こされた.(5)抗痙攣,(6)脳波,(8)筋弛緩及び(9)侵害刺激に対して両造影剤は有意な作用は示さなかった.以上の実験結果から,両造影剤は必ずしも類似の薬理作用を示すものではないことが示された.しかし,両造影剤のLD50値が約15000mgI/kgであることから判断すると,それぞれの造影剤投与によるこれらの作用は非特異性なものであると考えられた.