著者
東海林 徹 桜田 忍 木皿 憲佐
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.11-18, 1975 (Released:2007-03-29)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Metaraminol(MA)脳内投与によるマウスの行動変化について検討を加え,次のような成績が得られた.1)MA脳内投与によって光束法およびopen-field testでとらえた自発運動量は投与直後に増加,後,減少するという2相性を示した,2)MA160μg脳内投与30分後,脳内CAに変動は認められなかったが,6時間後,脳内CAの著明な減少が認められた.3)Reserpineおよび6-hydroxydopamine(6-OHDA)による自発運動量減少作用に対してMAは拮抗した.この拮抗はreserpine処理群に対してよりも,6-OHDA処理群に対しての方が強かった.4)Reserpineによるptosis,catalepsyに対してMAは拮抗作用を示した.5)MA投与6時間後に抗methalnphetamine作用が認められた.
著者
木皿 憲佐 桜田 忍 只野 武 桜田 司 丹野 孝一 碓井 千春 北野 裕 高砂 浄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.269-280, 1993 (Released:2007-02-06)
参考文献数
8

イオヘキソール及びイオパミドールの静脈内投与時の中枢作用9項目((1)一般症状,(2)自発運動量,(3)直腸体温,(4)電撃痙攣,(5)抗痙攣,(6)脳波,(7)催眠増強,(8)筋弛緩,(9)抗侵害刺激)について比較検討した.(1)一般症状観察の項目の内で驚き反応に対するスコアはddY系のマンニトール投与群で0であるのに対しICR系では0.6と高い値であった.さらに,両造影剤投与による驚き反応はマンニトール投与群との間に明らかな差は認められなかった.(2)自発運動量に対してはイオパミドールの1750mgI/kgで抑制作用が認められた.チオペンタールナトリウムの(7)催眠作用に対してイオヘキソールの7000mgI/kg投与によって催眠作用の増強が認められた.(3)直腸体温及び(4)電撃痙攣に対して両造影剤の高用量において正常体温の下降作用と電撃痙攣による死亡率の有意な上昇が引き起こされた.(5)抗痙攣,(6)脳波,(8)筋弛緩及び(9)侵害刺激に対して両造影剤は有意な作用は示さなかった.以上の実験結果から,両造影剤は必ずしも類似の薬理作用を示すものではないことが示された.しかし,両造影剤のLD50値が約15000mgI/kgであることから判断すると,それぞれの造影剤投与によるこれらの作用は非特異性なものであると考えられた.
著者
野原 稔弘 池田 剛 桜田 忍 金城 順英
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

Incarvillateine (INCA)に関するこれまでの構造活性相関試験より、鎮痛活性発現に必要な基本骨格が明らかとなった。本結果を礎に、芳香環部あるいはアルカロイド部を多彩に変換することに依り、さらに強力な活性物質に導くことができるものと予想される。特にアルカロイド部分単独で強力な活性を有する化合物を本構造に導入することで、さらに活性を増強させることも可能であると考えられる。鎮痛作用発現のために重要な因子の中で、INCAの前駆体と考えられるモノマーのIncarvine Cが殆ど活性を示さなかったことより、特に二量体構造が、その強力な鎮痛活性発現に対して重要な役割を担っていることが示唆された。そこで、INCAと同様の立体構造を有するα型ジフェニルシクロブタンジカルボン酸:α-truxillic acid (TA)、および4,4'-dihydroxy-α-truxillic acid (DHTA)の二種を合成して鎮痛活性を検討した結果、腹腔内投与において、これら両者がホルマリンテストの第二相目の炎症性の疼痛行動を強力に抑制することが明らかとなった。特にDHTAはINCA以上の鎮痛活性を示し、NSAIDsの一般的な投与方法である経口投与においても、市販薬として繁用査されるロキソニンとほぼ同等の鎮痛抗炎症活性を示した。さらに、尿酸結晶を用いたラットの痛風モデルにおける痛みに対しても強力な鎮痛効果を示した。また、DHTAの大量経口投与時における潰瘍の発生は全く認められなかった。さらに多種のTAおよびその誘導体を合成し、鎮痛効果の比較および検討を行なった結果、同二相目における疼痛行動の抑制効果は、シクロブタン環の存在、α型の立体構造、シクロブタン環の遊離カルボン酸の存在、ならびに芳香環上の置換基の種類が重要な因子であることが判明した。