著者
小林 秀樹 松永 恒雄 梅干 野晁
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.612-624, 2002-12-31 (Released:2009-05-22)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究では,まずTOMS/PAR法の基礎検討により,Ruvに対するRsの影響と,標高の変化に伴うPARclearの変化が無視できないことを指摘し,改良TOMS/PAR法を提案した。また,TOMS/PAR法と改良TOMS/PAR法でのPAR推定精度の違いを気象庁の観測値を用いて検証し,後者の場合,より妥当なPAR推定値が得られる事が確認できた。さらにMODISのFPARプロダクトとTOMS/PAR法及び改良TOMS/PAR法によるPAR推定値を用いてAPARを算出し,APAR推定誤差がNPP推定誤差に与える影響を評価した。その結果,ランダム誤差は最大で年間NPPの4%程度,バイアス誤差が4-6%(MODIS/FPAR+改良TOMS/PAR法),8-9%(MODIS/FPAR+TOMS/PAR法)であった。これらの検討から,TOMS/PAR法,改良TOMS/PAR法ともに,既往研究における年間NPPのモデル間のCVよりは小さく,現在のAPAR推定値は全球NPP推定値の算出に対して十分な精度を持っていることが示された。しかし,年間NPPの全球推定にあたって,不確実性を低減させるためには,様々な地表面の紫外線反射率の影響を受けにくい改良TOMS/PAR法を用いた方がより信頼できる値を得られる。