著者
酒井 哲 内野 修 森野 勇 永井 智広 赤穂 大河 川崎 健 奥村 浩 新井 康平 内山 明博 山崎 明宏 松永 恒雄 横田 達也
出版者
社団法人 日本リモートセンシング学会
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.197-204, 2014-07-04 (Released:2015-01-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Volcanic ash particles originating from the eruptions of Mt. Sakurajima (31.59°N, 130.66°E) were observed with Mie lidar at an altitude of 1.6-2.3 km over Saga (33.24°N, 130.29°E) on 21 and 22 August, 2013. The lidar data showed a high depolarization ratio (10-15 %) and a moderately low backscatter wavelength exponent (0.6-0.7), indicating the presence of supermicrometer-sized nonspherical particles. The aerosol optical thicknesses at 500 nm derived from the skyradiometer were 0.12 on 21 August (13 : 50 LT) and 0.40 on 22 August (12 : 50 LT). The Ångström exponent was 0.16-0.49 and the single scattering albedo was 0.73-0.91, indicating the predominance of supermicrometer-sized and moderately absorbing particles.
著者
石黒 聡士 山田 勝雅 山北 剛久 山野 博哉 松永 恒雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.253, 2013 (Released:2013-09-04)

1.はじめに浅海域の生態系や水環境の動態を推し量るうえで、生物群の生息場の役割を果たす海草・海藻類をはじめとする海中基質の分布を正確に把握することが重要である。海藻・海草類をはじめとする海中基質の分布調査は潜行による直接調査のほかに、航空写真や衛星画像等の画像を用いた教師付分類手法など、リモートセンシングによる分布の傾向の把握手法が提案されている。しかし,水域の画像解析による基質の把握は,陸域のそれとは異なり、色調の変化が水深に大きく拘束されるため,色調変化の補正が必須となる。特に、船舶が侵入できない浅海域においては正確な水深を面的に効率よく計測することが困難であるため、水深による色調の補正が難しく、従来は水深による色調の変化が誤分類の大きな要因となっていた。国立環境研究所は平成24年11月から12月にかけて東北沿岸の一部において航空機搭載型ライダ(LiDAR)による測深を実施した。本研究では、航空機搭載型測深LiDARにより得られた細密な海底地形を用いて航空写真の色調を補正し、浅海底の被覆分類を試みたので報告する。本研究は平成24年度補正予算、独立行政法人産業技術総合研究所「巨大地震・津波災害に伴う複合地質リスク評価」事業の一部として実施されている。2.航空機搭載型測深LiDAR航空機搭載型測深LiDARは緑色の波長(532nm)のレーザを海面に照射して海底面からの反射をとらえることにより海底地形を計測する技術である。航空機はGPS/IMUを搭載しており、レーザ照射時刻と反射波の時間差から、反射地点の3次元座標が決定される。このときの座標系はWGS84に準拠しており、鉛直方向は楕円体高である。したがって、データ取得後にジオイド高補正し標高を算出する。これにより従来は効率的な海底地形計測が困難であった水深0m~十数mの浅海域において、面的に効率よく計測することが可能である。このシステムを固定翼機(セスナ208)に搭載し、レーザ照射による人体への影響を考慮した安全高度を維持して観測飛行を行う。このシステムは各点における反射波形を記録している。さらに、観測飛行中に毎秒1枚の8ビットRGB画像を撮影するカメラ(RedLake)を搭載している。このカメラの解像度は1600×1200画素で地上分解能は約0.4m/画素(飛行高度3000 ft時)である。なお、観測飛行は中日本航空株式会社によって実施された。3.対象地域と計測および分類手法本研究の対象地域は岩手県山田湾の小島周辺である。この地域は平成23年東日本大震災の前から現地調査が続けられている。震災により東北の多くの湾内で藻場が消失するなどの環境変化が起こった中にあって、震災後も藻場が消失することなく分布していることが確認されており、浅海域の生態系や水環境の動態を理解する上で貴重なサイトである。当該地域の観測は平成24年11月30日に実施された。観測結果(水深データによる陰影図およびRedLake画像)を図1に示す。本研究ではまず、1)RedLake画像を用いた教師付分類法による底質分類、2)細密水深データによる色調補正を施した画像を用いた教師付分類法による底質分類を実施する。2)の色調補正はdark pixel法による大気補正をした上で、Yamano and Tamura (2004)による手法を用いて水深による色調補正を行う。なお、本研究で使用した画像と水深のデータから簡易的に推定したR,G,Bの減衰パターンを図2に、また、これによって色調補正した結果を図3に示す。これらによって得られた画像を用いた分類結果を、現地調査によるグラウンドトゥルースと比較することにより評価する。現地調査は2012年10月に実施した。4.結果と今後の計画本研究では細密な浅海海底地形データを用いて航空写真の色調を補正して分類を行った。その結果、補正前の画像に比べて誤分類の確率が減少することを確認した。今後、色調補正の手法を精緻化することにより、さらに正確な分類が可能になること考えられる。また、航空写真の画像判読と現地調査結果および細密海底地形データの範読から、局所的に凹凸が激しい領域が藻場である可能性が高いことが分かった。今後、地形の凹凸度合いを指標化し、新たな画層としてRGBに追加して教師付分類や、各点で記録された反射波形を指標として考慮した分類手法を試みる予定である。参考文献Yamano, H. and Tamura, M. 2004. Detection limits of coral reef bleaching by satellite remote sensing: Simulation and data analysis. Remote Sensing of Environment 90: 86–103.
著者
小林 秀樹 松永 恒雄 梅干 野晁
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.612-624, 2002-12-31 (Released:2009-05-22)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究では,まずTOMS/PAR法の基礎検討により,Ruvに対するRsの影響と,標高の変化に伴うPARclearの変化が無視できないことを指摘し,改良TOMS/PAR法を提案した。また,TOMS/PAR法と改良TOMS/PAR法でのPAR推定精度の違いを気象庁の観測値を用いて検証し,後者の場合,より妥当なPAR推定値が得られる事が確認できた。さらにMODISのFPARプロダクトとTOMS/PAR法及び改良TOMS/PAR法によるPAR推定値を用いてAPARを算出し,APAR推定誤差がNPP推定誤差に与える影響を評価した。その結果,ランダム誤差は最大で年間NPPの4%程度,バイアス誤差が4-6%(MODIS/FPAR+改良TOMS/PAR法),8-9%(MODIS/FPAR+TOMS/PAR法)であった。これらの検討から,TOMS/PAR法,改良TOMS/PAR法ともに,既往研究における年間NPPのモデル間のCVよりは小さく,現在のAPAR推定値は全球NPP推定値の算出に対して十分な精度を持っていることが示された。しかし,年間NPPの全球推定にあたって,不確実性を低減させるためには,様々な地表面の紫外線反射率の影響を受けにくい改良TOMS/PAR法を用いた方がより信頼できる値を得られる。
著者
大山 博史 松永 恒雄
出版者
一般社団法人 日本リモートセンシング学会
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.61-67, 2019-02-28 (Released:2019-08-01)
参考文献数
18

We describe past, ongoing, and planned space-based instruments with the capability to observe the column abundance of greenhouse gases such as carbon dioxide (CO2) and methane (CH4). The key features of the satellite and spectral instruments are concisely summarized.
著者
中村 良介 山本 聡 松永 恒雄 小川 佳子 横田 康宏 石原 吉明 廣井 孝弘
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-24, 2014

我々は月探査機「かぐや」に搭載されたスペクトルプロファイラ(SP)データの全量解析を行い,月表面に露出しているカンラン石・低カルシウム輝石に富む岩相の全球分布を調べた.その結果,(1)カンラン石はモスクワの海・危難の海といった地殻が薄く比較的小さい衝突盆地周辺に(2)低カルシウム輝石は月の三大衝突盆地,すなわち南極=エイトケン盆地・雨の海・プロセラルム盆地の周囲に,それぞれ局在することが明らかとなった.表層の斜長岩地殻が完全に吹き飛ばされた衝突盆地の内部では,その下にあるマントルが大規模に溶融して「マグマの海」が形成される.原始地球への巨大衝突によって形成された月は,当初数百km以上の厚さのマグマオーシャン(マグマの大洋)によって覆われていた.「マグマの海」は,このマグマオーシャンのミニチュアであり,SPが捉えたカンラン石・低カルシウム輝石の分布は,その分別結晶化過程を反映していると考えられる.今後「かぐや」分光データの詳細な解析をすすめ,「マグマの海」の組成およびその分化過程を読み解いていけば,同じ手法を用いてマグマオーシャンの分化過程や月の内部構造・バルク組成にも強い制約を加えることができるだろう.同様に月の「マグマの海」の研究は,ほぼ同規模の小惑星ベスタ上のマグマオーシャンや,月よりもさらに規模の大きい地球のマグマオーシャンの分化過程についても,新たな知見をもたらすことが期待される.
著者
大竹 真紀子 廣井 孝弘 中村 良介 武田 弘 荒井 朋子 横田 康弘 春山 純一 諸田 智克 松永 恒雄 宮本 英昭 本田 親寿 小川 佳子 平田 成
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.23, 2009

マルチバンドイメージャは月周回衛星かぐや観測機器の1つであり、高度100kmの軌道から可視・近赤外波長域、合計9バンドの月面分光画像を取得する。本研究では、MIの高い月面空間分解能とS/Nを生かして月上部地殻の組成を推定した。解析対象として、月全球のクレータ約70個を直径や年代等の条件により選定・解析し、詳細な鉱物含有量比推定を行った。結果、最終選別した約30箇所のうち高地地域の直径30km以上の全クレータ(20箇所)で、極端に斜長石に富んだ(斜長石含有量が98vol.%程度以上の)岩層の分布が観測された。また、これら岩層は深さ4から30kmに分布する。月高地地域の上部地殻は、この極端に斜長石に富んだ層で構成されると考えられ、このような組成の地殻を形成するために非常に効率的なマグマからの斜長石結晶の分離プロセスが必要となることを示唆している。
著者
大石 優 永尾 隆 石田 春磨 中島 孝 松永 恒雄
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.299-306, 2015-11-20 (Released:2016-05-21)
参考文献数
15

The preparation of the launching of Greenhouse gases Observing SATellite-2 (GOSAT-2) in fiscal 2017 has been progressing. GOSAT-2 will be equipped with two earth-observing instruments: the Thermal And Near-infrared Sensor for carbon Observation Fourier Transform Spectrometer 2 (TANSO-FTS-2), and the Cloud and Aerosol Imager 2 (TANSO-CAI-2). Cloud contamination within the instantaneous field-of-view (IFOV) of the FTS-2 leads to incorrect estimates of major greenhouse gases concentration. Thus, cloud-contaminated FTS-2 data will be identified and rejected using the CAI-2. The observed time difference between the FTS-2 and CAI-2 may be longer than the FTS and CAI because the CAI-2 is a push-broom imaging sensor which has the backward and forward looking bands. Consequently, we examined the probability of cloud contamination within the IFOV of the FTS-2 by moving cloud though it was cloud-free region when the CAI-2 observed there. And we propose a method using the CAI-2 cloud discrimination for screening of cloud-contaminated FTS-2 data.
著者
中村 良介 山本 聡 松永 恒雄 小川 佳子 横田 康宏 石原 吉明 廣井 孝弘
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-24, 2014-03-25 (Released:2017-08-25)

我々は月探査機「かぐや」に搭載されたスペクトルプロファイラ(SP)データの全量解析を行い,月表面に露出しているカンラン石・低カルシウム輝石に富む岩相の全球分布を調べた.その結果,(1)カンラン石はモスクワの海・危難の海といった地殻が薄く比較的小さい衝突盆地周辺に(2)低カルシウム輝石は月の三大衝突盆地,すなわち南極=エイトケン盆地・雨の海・プロセラルム盆地の周囲に,それぞれ局在することが明らかとなった.表層の斜長岩地殻が完全に吹き飛ばされた衝突盆地の内部では,その下にあるマントルが大規模に溶融して「マグマの海」が形成される.原始地球への巨大衝突によって形成された月は,当初数百km以上の厚さのマグマオーシャン(マグマの大洋)によって覆われていた.「マグマの海」は,このマグマオーシャンのミニチュアであり,SPが捉えたカンラン石・低カルシウム輝石の分布は,その分別結晶化過程を反映していると考えられる.今後「かぐや」分光データの詳細な解析をすすめ,「マグマの海」の組成およびその分化過程を読み解いていけば,同じ手法を用いてマグマオーシャンの分化過程や月の内部構造・バルク組成にも強い制約を加えることができるだろう.同様に月の「マグマの海」の研究は,ほぼ同規模の小惑星ベスタ上のマグマオーシャンや,月よりもさらに規模の大きい地球のマグマオーシャンの分化過程についても,新たな知見をもたらすことが期待される.