著者
宮本 芳城 川村 和史 梅本 哲矢
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
雑誌
和歌山県農林水産総合技術センター研究報告 (ISSN:13455028)
巻号頁・発行日
no.6, pp.13-23, 2005-03

県産米「キヌヒカリ」の品質低下の主な原因となっている心白粒など白未熟粒の発生要因を明らかにするため、移植時期と収量、品質との関係を検討し、登熟初中期にあたる出穂後20日間の気象要因の影響について解析した。1.移植時期と収量および収量構成要素との関係は明らかではなかった。2.移植時期と白未熟粒発生との関係は年次によって差がみられるが、移植時期は遅いほど白未熟粒の発生が減少する傾向が認められた。3.白未熟粒の発生と出穂後20日間の日最高気温の平均および日平均気温の平均との間に高い相関が認められ、この期間の温度が高いと白未熟粒の発生が増加したまた、この関係は栽培条件の異なる現地ほ場においても認められた。4.出穂後20日間の平均日照時間が長いほど白未熟粒発生割合が高くなる傾向がみられた。また、過度な日照不足は粒の充実不足を招き、白未熟粒の発生につながると考えられた。5.得られた近似式から「キヌヒカリ」の白未熟粒の発生を少なくするためには、出穂後20日間の日平均気温の平均を26.1℃以下、かつ日最高気温の平均を31.4℃以下にすることが有効であった。それには和歌山県北部の平坦地では出穂期を8月15日以降に遅らす必要があり、このときの移植時期は6月21日以降であった。