著者
菊崎 泰枝 梶原 えり子 橘 ゆかり 中谷 延二
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.35, 2004

【目的】カレーリーフはナンヨウザンショウ(<i>Murraya koenigii</i>)の葉で、香辛料としてインド料理や東南アジア料理の香り付けに利用されている。演者らはこれまでにカレーリーフの塩化メチレン抽出物から強い抗酸化活性を有するカルバゾール類を単離・構造決定してきた。本研究では、カルバゾール類よりも高極性の抗酸化成分の解明を目的とした。<br>【方法および結果】カレーリーフの乾燥葉を溶媒抽出し、塩化メチレン抽出物、酢酸エチル可溶部および水溶部を得た。各画分のDPPHラジカルに対する捕捉活性およびリノール酸メチルの加熱通気酸化に対する抑制活性(Oil Stability Index(OSI)法)を測定したところ、酢酸エチル可溶部に塩化メチレン抽出物に匹敵するDPPHラジカル捕捉活性および塩化メチレン抽出物の約50%の抗酸化活性を認めた。酢酸エチル可溶部を繰り返しカラムクロマトグラフィに供して精製した結果、2種の安息香酸類、4種のケイ皮酸類、kaempferol、quercetinの他5種のフラボノイド配糖体を単離した。このうち3種はkaempferol、 quercetinおよびmyricetinの3-<i>O</i>-β-D-glucosideであった。また、2種はグルコースの6位がアシル化されたkaempferol 3-<i>O</i>-(6-<i>O</i>-acetyl)-β-D-glucosideおよびquercetin 3-<i>O</i>-(6-<i>O</i>-<i>p</i>-coumaroyl)-β-D-glucosideと決定した。得られた化合物のDPPHラジカル捕捉活性はオルトジフェノール構造をもつ化合物の活性が強く、OSI法ではcaffeic acid、 protocatechuic acid、quercetinが強い活性を示した。また、OSI法により塩化メチレン抽出物と酢酸エチル可溶部の抗酸化活性の相互作用を測定したところ、相加作用を示した。