著者
梶原 幹弘
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.201-206, 1983-06-25
被引用文献数
2

異なる相対高での正形数λ_<0.1h>, λ_<0.3h>, λ_<0.5h>, λ_<0.7h>の変化を検討した。各正形数は, それに対応した相対幹曲線の回転体体積によって定まる。異なる年齢での二つの相対幹曲線を比較してみると, 基準とした直径の相対高の上と下とでは, どの場合でもそれらの相対半径の大小関係が逆転している。このために生ずる相殺作用が, 両者の正形数の差異を弱めることになる。このような効果は, 正形数の種類によって異なる。76年生のヒノキの例では, λ_<0.3h>で最も大きく, λ_<0.5h>でも起こったが, λ_<0.1h>やλ_<0.7h>ではほとんど認められなかった。これが, λ_<0.3h>やλ_<0.5h>, とくにλ_<0.3h>がλ_<0.1h>やλ_<0.7h>にくらべて相対幹形の変化の影響を受けがたい原因である。相対幹形の変化が大きい比較的若い年齢においても, λ_<0.3h>の変化はわずかであった。一方, この間にλ_<0.1h>は増加, λ_<0.5h>とλ_<0.7h>は減少を示した。その後, 相対幹形が安定するにつれて, いずれの正形数もほぼ一定となることがわかった。
著者
梶原 幹弘
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.50-55, 1989-02-01
被引用文献数
4

現実の幹曲線が相似であれば完満度は等しいとみなし、現実の幹曲線を直径方向、樹高方向ともに樹高分の1に縮めた一種の相対幹曲線における直径の減少度を完満度と定義することを提案した。この相対幹曲線は正常相対幹曲線とこれに対応する形状比とに分解でき、前者の後者に対する商として与えられる。多くの伐倒木での測定値を用いて、スギ、ヒノキ、アカマツ、カラマツの同齢林における完満度の変化を調べた結果、次のことがわかった。1)幹の上部では完満度の経年変化は比較的小さかったが、一定の樹齢までは幹の下部で完満度が著しく大きくなった。2)高い度管理状態のものほど完満度が大きかった。3)スギにおける密度管理状態による完満度の差は、樹種間におけるそれよりも大きかった。4)完満度の垂直的変化のパターンには樹種間における差異が認められた。これらの結果からすると、ここに提案した完満度の定義と表現は実用的に有効であるといえる。