著者
梶山 倫子 吉岡 さおり
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.99-108, 2018 (Released:2018-03-23)
参考文献数
50
被引用文献数
3

本研究の目的は,終末期がん患者の在宅療養移行に向けた一般病棟看護師の意思決定支援の特徴とその関連要因を検討することである.本研究で新たに意思決定支援項目(17項目)を作成し,重回帰分析により関連要因を検討した.看護師1,019名を対象に質問紙調査を実施し,有効回答は653であった(有効回答率64.0%).分析の結果,「がん患者の在宅療養移行支援経験(β=0.26)」「看護師の自律性:具体的判断能力(β=0.23)」「看護師の自律性:実践能力(β=0.18)」「在宅看護論履修(β=0.13)」「死後の世界観(β=0.12)」「家族看護に関する学習経験(β=0.07)」が関連要因として特定された.調整済みR2は0.27であった.終末期がん患者の在宅療養移行における看護師の意思決定支援には,経験に基づく看護実践能力,在宅看護や家族看護に関する学習経験,死についての考え方などの関連が示唆された.