著者
山本 正彦 吉岡 さおり 岩脇 陽子
出版者
一般社団法人 日本専門看護師協議会
雑誌
日本CNS看護学会誌 (ISSN:21895090)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-9, 2021-11-10 (Released:2021-11-10)
参考文献数
17

本研究は,がん看護専門看護師の役割行動の実態と役割行動能力に関連する要因を明らかにすることを目的とした.全国の病院に勤務するがん看護専門看護師636名を対象に質問紙調査を実施した.質問紙は,専門看護師における自律性測定尺度におけるCNS役割行動,ENDCOREsコミュニケーションスキルスケール,育成環境に対する認識項目,属性で構成した.CNS役割行動を従属変数とする重回帰分析を行った.調査の結果,266名(有効回答率42.5%)の有効回答が得られた.重回帰分析の結果,コミュニケーションスキルを示す「他者受容」「自己主張」「自己統制」,育成環境を示す「活動支援の程度」「職務規程の有無」などの要因との関連が示された.看護管理部の役割開発における育成環境の支援整備とともに,がん看護専門看護師自らも組織に所属する管理職や専門職と協働できる高度なコミュニケーションスキルの獲得が重要であることが示唆された.
著者
梶山 倫子 吉岡 さおり
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.99-108, 2018 (Released:2018-03-23)
参考文献数
50
被引用文献数
3

本研究の目的は,終末期がん患者の在宅療養移行に向けた一般病棟看護師の意思決定支援の特徴とその関連要因を検討することである.本研究で新たに意思決定支援項目(17項目)を作成し,重回帰分析により関連要因を検討した.看護師1,019名を対象に質問紙調査を実施し,有効回答は653であった(有効回答率64.0%).分析の結果,「がん患者の在宅療養移行支援経験(β=0.26)」「看護師の自律性:具体的判断能力(β=0.23)」「看護師の自律性:実践能力(β=0.18)」「在宅看護論履修(β=0.13)」「死後の世界観(β=0.12)」「家族看護に関する学習経験(β=0.07)」が関連要因として特定された.調整済みR2は0.27であった.終末期がん患者の在宅療養移行における看護師の意思決定支援には,経験に基づく看護実践能力,在宅看護や家族看護に関する学習経験,死についての考え方などの関連が示唆された.