著者
梶田 宗吾 天野 辰哉 山口 弘純 東野 輝夫 高井 峰生
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1270-1282, 2019-07-15

本研究では,多数のアクセスポイント(AP)の混在により混雑をきわめる都市部の2.4GHz Wi-Fi環境において,チャネル間の利用周波数重複によるチャネル間干渉の影響を低減するようなAP向けチャネル選択手法を提案する.提案手法により,自律チャネル制御による干渉回避手法の実現と同時に,有限なチャネル資源のより効率的な活用を目指す.対象とするAPにおいて,MACフレーム観測を実施することで各チャネルの利用状況を把握し,これに基づきチャネル切り替えの指標となる通信品質を予測する関数を設計する.予測関数は,トラフィック飽和に基づく分類器と飽和時にどれほど厳しい飽和状態にあるのかを定量化する重回帰式によって構成され,ネットワークシミュレータで作成した訓練データを用いて構築した.大阪市で実際に収集したAP設置情報を用いた評価実験において,提案手法は,ランダムなチャネル選択と比較し,スループットが1.83倍となることを示した.