著者
棚橋 結花 岡崎 篤行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.290-293, 2020-12-04 (Released:2022-06-08)
参考文献数
7

花街は日本の文化をソフト・ハード両面から包括的に継承している稀有な場であり、近年ではその価値が再評価されつつある。向嶋花街は芸妓数が東京の花街において最多であり、東京大空襲を逃れた昭和初期の料亭が現存している。本研究では向嶋花街を対象に関東大震災以前の1921年頃、戦前であり最盛期の1935年頃、戦後直後の1953年頃、衰退過程の1968年頃、現時点の2019年の5時点での花街建築の業種毎の分布とその変遷を明らかにする。主な結論としては、1)花街建築の集積する場所は1921年頃から変化していないこと、2)昭和後期以降に料亭の営業形態が茶屋型から料理屋型中心に変化したこと、3)向嶋花街では現在、他の東京の花街と異なり、昭和後期以降に新しく組合に加盟した料亭が多いことが挙げられる。