著者
川合 春平 武田 陸 谷口 守
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.122-129, 2022-09-09 (Released:2022-09-09)
参考文献数
24

近年、地方部を中心に人口減少やモータリゼーションによる地域公共交通の縮小が問題となっている。衰退する地域公共交通を国や自治体の補助で維持をする例も多いが限界がある。こうした地域公共交通を社会全体で維持していく場合に、市民が定額を払うことでサービスを利用・維持するサブスクリプション形平準化運賃制度の検討が重要であると考えられる。そこで本研究では地域公共交通の維持管理費を市民が負担することで地域公共交通が乗り放題となる仕組みの実現可能性を検討した。その結果、一人当たり約5万円の負担で全国の地域公共交通が維持できることが明らかとなり、市民の多くが受容できるような負担で平準化運賃制度を実現できることが示された。
著者
小野塚 亮 淺見 知秀 東 宏一 三谷 繭子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.134-138, 2023-06-09 (Released:2023-06-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

まちづくりにおいて参加プレーヤーの固定化や多様な市民の参加を促す難しさといった問題点が指摘されている。そこで、栃木県小山市における住民参画型まちづくりプロジェクトを事例に、共創まちづくりデジタルプラットフォームへの利用意向を調査した。コミュニティエンパワーメントに関する理論から導かれた質問項目で半構造化インタビューを実施し、そのコーディング結果の示唆を一般化するためにアンケートを実施、統計分析を行った。その結果、デジタルプラットフォームは市民参加の裾野を広げるものであることが確かめられ、「地域につながりがあって行政と関わる意義を感じている人ほどデジタルプラットフォームを利用しやすい」、「コミュニティ感覚の低い利他的な人ほどデジタルプラットフォームを利用しやすい」という2つの命題が導かれた。
著者
高橋 栄人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.3-4, pp.120-125, 2004 (Released:2005-04-05)

この記事は取下げされました。
著者
鈴木 伶音 髙橋 和詩 荒川 知輝 田澤 士琉 佐藤 陽菜乃 川﨑 興太
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.439-446, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
9

本研究の目的は、原発被災地の自治体職員の現状や課題を把握することである。本研究を通じ、原発事故後には非正規職員が増加しており、原発事故前の行政経験がある正規職員は全体の3割にすぎないということ、業務量が多いと感じている職員が多く、遠距離通勤や家族との別居など、原発事故による被害を引きずっている者が少なくないことが明らかになった。今後の検討課題として、復興に関しては、被災者の支援の充実について指摘されることが多いが、その被災者を支援する基本的な行政主体は自治体であることから、同時に自治体職員の支援の充実が必要であることを指摘した。
著者
福岡 孝則 加藤 禎久
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.423-429, 2019-03-07 (Released:2022-06-08)
参考文献数
9
被引用文献数
1

アジア・モンスーン気候下で,都市・国土スケールを対象として展開されるGI適用策の推進手法としてのシンガポールのABC Waters Design Guidelines(ABC-WDG)の内容と実態,及びガイドラインで認証された事例の動向・実効状況から得られた,GI適用策推進に向けた知見は以下の通りである。ABC-WDGは計画・設計や啓蒙のための媒体である一方で,認証制度や人材育成,認証プロジェクトの推進と市民への啓蒙までを3P(市民,行政,民間)で包括的に推進する戦略であることがわかる。シンガポールのABC-WDGは,都市・国土スケールにおけるGI適用策の推進手法としての一つのあり方を示している。
著者
前田 菜緒 太田 尚孝 新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.20-23, 2023-06-09 (Released:2023-06-09)
参考文献数
16

近年、短時間強雨の発生回数の増大により洪水発生リスクが増大している。本研究では対策としてグリーンインフラの一種である雨庭を取り上げ、先進的に整備の進んでいる京都市における雨庭の導入、整備のプロセスと維持管理の成果・課題を主体間の関係性と防災・減災効果と共に明らかにすることを本研究の目的とした。GISを用いた立地分析、文献調査、ヒアリング調査、現地調査を通し、本研究では以下の三点が明らかになった。1.現状では日常的なレベルの降雨には対応できるが極端な水災害との関係性は薄いといえる。2.京都造園建設業協会からの提言があり京都市が主体的に整備することで雨庭整備が実現し維持管理を地域ボランティアが担っている。3.整備は途中段階であり、維持管理に際して行政とボランティア間のズレがある。
著者
今津 海
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.389-393, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
22

今日、大学における「地域社会への貢献」の重要性が高まっており、さらには、地域社会が求める人材の育成も急務となっている。とりわけ、地方公共団体が設置する公立大学においては、地域人材育成の役割が大きいとされ、いわゆる「地域系学部」を有する公立大学も多い。本稿では、公立大学の「地域系学部」が掲げる教育目標に焦点を当て、その内容を概観しながら、今日の公立大学の「地域系学部」における人材育成の特性を把握することを目的として調査を行った。結果として、公立大学の「地域系学部」における人材育成の特性として、都市・地域が抱える諸課題の解決や、持続可能な都市・地域づくりに貢献できる人材の育成を目指している点に一致が見られたほか、都市・地域づくりの現場における「中心的な役割」を担うことができる能力や学際的な知見に基づく実践力、各種ステークホルダーとの連携を図る能力の習得に重点が置かれていることを指摘した。
著者
泉山 塁威 宇於﨑 勝也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.265-270, 2022-12-08 (Released:2022-12-08)
参考文献数
9

本研究では、都心と駅をつなぐ空間であるデッキに、イベントに利用できる空間があるかを把握するために、駅前広場にデッキがあるか、また、それが線状デッキか面状デッキかを判断した。さらに、面状デッキに着目し、デッキ上の空間を分析した。そして、広場型デッキに着目し、デッキ運営の特徴や課題を明らかにした。
著者
溝口 萌 池田 采可 泉山 塁威 宇於﨑 勝也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.251-257, 2022-09-09 (Released:2022-09-09)
参考文献数
17

人口減少や大都市圏への人口集中により、中心市街地は衰退の一途をたどっている。一方で、中心市街地の活性化は地方都市にとって依然として課題である。そこで、本稿では、基本計画で実施された事業の分析とアンケート調査を行った。その結果、中心市街地活性化システムは、ソフト事業への支援が不十分であり、事務負担も大きいことがわかった。その充実により、自治体が制度を利用しやすくなり、継続的な賑わいを創出することができる。
著者
江口 慶 佐久間 康富
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.28-35, 2022-06-08 (Released:2022-06-08)
参考文献数
31

育成対象の段階に応じた経験を起業家育成講座や新富町役場・こゆ財団からの仕事の委託を通じて作り、その支援をすることで、起業までの流れを作り出そうとしている。自己認識と知識を深める段階では、外部からの刺激を与えられる支援が効果的であり、外部から刺激を受けても、思考をきちんと整理できる支援することが課題である。仕事として実行する段階では、試行の機会・幅を広げる、人との繋がりや相談の機会の提供が効果的な支援であり、広がった試行の機会を、目的と手段を明確化して取捨選択できるような支援を広げることが課題である。
著者
植野 健治 井上 典子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.10-4, pp.188-192, 2012 (Released:2012-03-10)

平戸市は長崎県の北西端に所在し、16世紀に本地域で布教されたキリスト教の影響により、かくれキリシタンの習俗をとどめる地域である。本稿は、本地域を対象として、文化的景観を構成する有形の諸要素を対象に無形の調査に基づきその意味を読解し、図化作業を通じて、有形・無形の諸要素が示す相互関係を明らかにすることを目的としたものである。文化的景観の構造分析を行うにあたっては有形・無形の関連を示すレイヤー構造に注視し、集落の機能的な範囲を示す有形の要素と信仰空間等の無形要素の関係を読み解くアプローチは、土地の個性を明らかにする上で非常に重要であることがわかった。
著者
高橋 栄人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.9-1, pp.7-11, 2010 (Released:2010-06-10)

この記事は取下げされました。
著者
広兼 靖也 雨宮 護
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.268-274, 2023-09-07 (Released:2023-09-07)
参考文献数
16

本報告ではつくば市として大きな変化が発生していた2010年から2020年における社会の変化を捉えるために,社会地区分析を用いて,その結果からつくば市の変容の様子を記述した.分析の結果,①研究学園地区,TX沿線開発地区,周辺開発地区という区分に対応した社会地区が形成される一方で,この10年間で社会地区が多様化したこと,②特にTX沿線開発地区において大きな社会変化があったこと,③国家公務員宿舎廃止後の社会変化は,社会地区を変えるほどのものではなかったこと,④市南部で,他県に通勤する層やサービス職の増加があったことが明らかになった.
著者
泉山 塁威 川尻 雄貴 橘 奏絵 染矢 嵩文 深津 壮 長谷川 千紘 小原 拓磨
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.139-145, 2023-06-09 (Released:2023-06-09)
参考文献数
19

本研究の目的は、「駐車場法特例制度」に関連する3つの制度を導入している各自治体の主体、目的、整備手段の適用状況を整理し、「駐車場法特例制度」の特徴や課題を明らかにすることである。ヒアリング調査をもとに、3つの制度それぞれの策定プロセス、計画・運用の主体、策定の目的、整備手段などを整理し、各制度の特徴や課題を明らかにします。その上で、3つのシステムを比較し、Walkable Citiesのための今後の駐車場集約化を提案する。
著者
中島 将弘 秋本 福雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.102-105, 2005-04-05 (Released:2022-09-01)
参考文献数
13

相模原都市建設区画整理事業は新興工業都市建設事業の一つとして実施された。新興工業都市は、戦時体制下に、軍施設を中心とした地方発展、空襲による被害の緩和を目的に、全国に23ヶ所建設された。新興工業都市は、旧都市計画法第13条の公共団体による土地区画整理事業によって建設され、相模原の施行面積は、1,594haと全国最大である。本研究の目的は、相模原都市建設区画整理事業の、①事業計画案の特徴、②事業の進捗と成果を、神奈川県立公文書館に残された神奈川都市計画地方委員会の資料に基き、明らかにすることである。
著者
鈴木 舞衣 薬袋 奈美子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.84-89, 2022-06-08 (Released:2022-06-08)
参考文献数
6

外遊びは子どもにとって健やかな成長や幸福度の向上のために必要な生活行為の一つである。しかし、現代の子どもたちは外で遊ばない傾向にある。加えて、子どもの遊び空間は特に都市部において公園に限定化されており、自由に遊べる空間が不足している。 本研究では、子どもの外遊びの状況を把握するとともに、外遊びを妨げる要因の一つとして地域住民の外遊びに対する迷惑意識に着目し、調査を行った。その結果、地域住民は外遊びで発生する騒音に不満を持っていること、住宅が密集している狭い道路で特に苦情が発生していることが明らかになった。子どもたちは外遊びがルールやマナーによって規制されていると感じており、自由に遊べないことに不満を抱いていることがわかった。また、地域によっては路上で遊ぶことを好む子どももおり、郊外に住む子どもは都心に住む子どもに比べて路上で遊ぶ傾向があることがわかった。
著者
ウォンダラ ハルシット 鈴木 茜 竹中 大貴 磯部 裕汰 岡本 亮太 松坂 大和 真野 知也 三木 裕子 山崎 嵩拓 泉山 塁威 小泉 秀樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.318-323, 2020-12-04 (Released:2022-06-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1

2020年、COVID-19流行時に生活行動が制限されている中、都市公園は運動や休息する場所として利用することができた。しかし、一部の公園では、密集状態を避けるために遊具などのパークコンテンツを封鎖する対応がとられていた。感染症蔓延の状況下において公園利用を継続するためには、公園内の密集防止措置を講じる必要がある。本研究は東京都内の7か所の公園を対象に、パークコンテンツに着目して利用実態及び密集状況を把握した。その結果として、遊具および観覧を伴う広場では密集度が高い傾向が示された。それを踏まえた密集を防ぎながら公園利用を可能とする方策を考察した。
著者
泉山 塁威 西田 司 石田 祐也 宋 俊煥 矢野 拓洋 濱 紗友莉 小原 拓磨
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.284-289, 2020-09-07 (Released:2022-06-08)

本稿では,「コロナ道路占用許可」の調査による速報的考察を行うことで,路上客席の現状把握から可能性と課題を抽出することを目的とする.分析は,「コロナ道路占用許可」の枠組みの整理,30自治体の実践事例の整理,主体の分析,空間の分析を行っている.なお,「コロナ道路占用許可」に伴う路上客席は空間面・マネジメント面などウォーカブルや歩行者利便増進道路などの歩行者中心のストリートに向けた現状把握にもなることから,路上客席の先に歩行者中心のストリートへの政策への接続についても問題意識を持っている.
著者
高見 淳史
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.145-148, 2011

社会的包摂の観点から雇用,教育,健康など重要性の高いサービスや活動機会へのアクセスを確保することは,少子高齢・人口減少時代を迎えたわが国にとって大きな課題である。本稿は,同様の問題意識のもとで2000年代中盤から英国・イングランドで進められてきたアクセシビリティ・プランニングの取り組みを取り上げ,その背景や枠組み,アクセシビリティ評価手法を概観する。また,交通施策だけでなく土地利用計画との統合を通じてアクセシビリティの問題に対処すべく,アクセシビリティの定量的評価を空間計画に反映させている(またはその方向で進めようとしている),グレーターロンドン,ウエストミッドランド,リバプールの事例を報告する。
著者
高見 淳史 大森 宣暁 青木 英明
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.55-60, 2011

2010年7月,ロンドン中心部で「Barclays Cycle Hire」のサービスが開始され,パリのVelib'に続く大都市での大規模な自転車共同利用システムの導入となった。本稿はこのシステムを取り上げ,導入の背景,Transport for London・Serco社・Barclays社など各主体の役割,需要予測の手法,ステーション敷地の選定基準,開業初期時点における利用状況や課題,などについて整理した。利用や運営の状況に関しては,計画された規模の完成に向けて整備が進められる途上の情報ではあるが,利用は1日平均約15,000回で目標水準に達していないこと,通勤利用の多さから一部地区で自転車や空きラックの不足が問題化していること,開業後の自転車再配置の改善やステーションの漸進的な設置の過程でそれへの対応が試みられていること,などを示した。