著者
河村 フジ子 中島 茂代 森 清美
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.295-298, 1977-07-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

ゼラチンゲルの特性に及ぼすタンニン酸の影響をみた結果を要約すると次のようになる。1) ゼラチンゾルに10鐙9%または100mg%のタンニン酸を加えてpH5 (等電域) に調整すると, ゾルの明度は低下し, ゲル化しにくくやわらかいゲルを形成するが, タンニン酸10mg%添加ゾルはpH3, pH6ともに, タンニン酸100mg%添加ゾルはpH3の場合はいずれも対照 (pH調整ビラチンゾル) よりゲル化しやすい.2) ゼラチンゾルがタソニン酸により沈殿する場合でも, 保温しつつ十分攪拌すると, 沈殿の一部が溶けて, ゲル形成が阻害されるのをある程度防ぐことができる.3) タンニン酸添加ゾルに砂糖を加えるとゲル化しやすく, 硬いゲルを形成する.ゾルのpHによるゲルの硬さの差は砂糖無添加の場合と同じ傾向を示す.4) リンゴ汁添加ゾルは糖やペクチンを含むが, pHが5に近く, タンニンを含むので, 対照ゲル (無添加ゼラチンゲル) とほぼ同程度のゲルを形成する.コーヒー液添加ゾルのpHも5に近く, 多量のタンニンを含むのでやわらかいゲルとなり, 紅茶液添加ゾルのpHは6に近く, タンニンも少ないので, 硬いゲルとなる.