著者
森下 明子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

平成21年度は、11月30日付の中途辞退までに、(1)インドネシアでのフィールド調査、(2)インドネシアの地方政治・経済権力構造についての日本語論文の発表、(3)マレーシアの地方政治・経済権力構造に関する国内ワークショップ発表を行った。フィールド調査では、インドネシアで4月9日に行われた総選挙の分析を中心に、調査対象地であるリアウ州と北スマトラ州の政治・経済権力構造を理解するため、二州選出の国会議員に注目し、彼・彼女らの得票率とプロフィール(出身地、宗教、家族的背景、学歴、職歴、議員歴、政党活動歴、所属組織等)の分析を行った。二州における中央・地方関係、地方政治構造、地方エリートと有権者の関係等を探ることが目的である。またインドネシア国会議員全員のプロフィール分析を行い、その成果を論文として今年度中に発表する予定である。本年度11月までの研究成果としては、日本インドネシアNGOネットワーク(JANNI)の季刊『インドネシア・ニュースレター』に、他地域との比較を念頭に、中カリマンタン州を事例として、スハルト時代からポスト・スハルト時代にかけてインドネシアの森林伐採地域の住民が経験した社会・経済・政治的変化に関する論文を発表した。また学会発表では、5月に総合地球環境学研究所プロジェクト「生態系ネットワークの崩壊と再生」の主催で行われたワークショップにおいて、サラワク州を事例に、マレーシアの森林開発に関連する政府機関と事業権の交付システム、森林開発関連制度、森林開発の事業権保有者および企業のプロフィールから、州首相を頂点とする州政財界のパトロン・クライアント関係を明らかにした。