著者
阿久沢 正夫 高橋 隆之 中村 康男 竹之下 浩和 原 由香 森園 充 坂本 紘 岡本 嘉六 出口 栄三郎
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.313-317, 1989
被引用文献数
6 1

鹿児島県内を管轄する4ヵ所の畜犬管理センターに集められた犬について, レプトスピラ (8種類の血清型<I>autumnalis, hebdomadis, australis, icterohaemorrhagiae, canicola, pyrogenes, hardjo, pomona</I>) に対する抗体調査を1984年5月から1987年3月に行った. 性別による陽性率は雄26.2%, 雌18.8%で雄の方が高く, また推定年齢別の比較では, 加齢とともに陽性率は増加する傾向を示した. 県全体では, 806頭中190頭 (23.5%) が1種類以上の血清型に対して陽性であった. 地域別では, 加世田が204頭中57頭 (27.9%) で最も陽性率が高く, ついで宮之城が197頭中53頭 (26.9%), 国分は198頭中44頭 (22.2%), 鹿児島市が最も低く207頭中36頭 (17.4%) であった. 各地域の月別の陽性率は, 季節に関連する変動は認められなかった. 県内4ヵ所での各血清型抗体の検出数および検出率で, 各地域とも最も多いのは<I>icterohaemorrhagiae</I>であった. 次に多く検出されたのは鹿児島市と国分では<I>canicola</I>で, 加世田と宮之城では<I>hebdomadis</I>であった. 今回の調査において, 1972年から1979年の南九州における調査では検出されなかった<I>australis, pyrogenes, pomona</I>および<I>hardjo</I>に対する陽性反応が認められた. 検査した犬はすべて臨床的には健常であり, 同時に行った血液検査でも, BUNの値が正常範囲内ではあるが抗体陽性の犬は陰性の犬よりも有意に高い値 (P<0.05) を示したにすぎなかった.
著者
森園 充 北 敏郎 西山 実光
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.95-103, 1976-03-20

ウマ, ウシ, ブタ, イヌ, ネコの血清Al-P総活性値をK-K変法, BL法およびB変法の3種の方法で測定した結果, 次のような知見が得られた.1.各家畜の正常活性値は, K-K変法で, ウマ17.4±0.78,ウシ9.2±0.63,ブタ6.6±0.33,イヌadult5.8±0.4,infant8.8±1.1,ネコadult3.9±0.7,infant8.6±0.9KAU, BL法で, ウマ6.2±0.28,ウシ2.2±0.1,ブタ2.1±0.1,イヌadult1.6±0.1,infant2.3±0.2,ネコadult1.2±0.3,infant2.6±0.3BLU, B変法では, ウマ7.3±0.6,ウシ3.1±0.2,ブタ2.5±0.1,イヌadult2.3±0.2,infant2.9±0.3,ネコadult1.7±0.2,infant3.5±0.4BUであった.2.K-K変法に対するBL法とB変法の相関性は, 前者がウマでr=0.79,ウシでr=0.86,ブタr=0.65,イヌr=0.60,ネコr=0.80,後者がウマr=0.67,ウシr=0.79 r=0.76,ブタr=0.76,イヌr=0.77,ネコr=0.86といずれも強い相関が認められた.3.K-K変法に対するBL法とB変法による活性値の換算値は, ウマ10KAU-4.1BLU, 20KAU-7.0BLU, 10KAU-3.4BU, 20KAU-8.7BU, ウシ10KAU-2.5BLU, 20KAU-5.4BLU, 10KAU-3.4BU, 20KAU-6.1BU, ブタ10KAU-3.2BLU, 20KAU-6.4BLU, 10KAU-3.5BU, 20KAU-5.0BU, イヌ10KAU-2.4BLU, 20KAU-4.1BLU, 10KAU-3.3BU, 20KAU-6.6BU, ネコ10KAU-2.9BLU, 20KAU-5.5BLU, 10KAU-3.9BU, 20KAU-7.0BUであった.4.イヌとネコにおいては, infantがadultよりも活性値が明らかに高い傾向が認められた.5.各家畜における性差は認められなかった.6.ウシにおける品種間の差は認められなかった.7.3種測定法の中では, K-K変法が最も適当しているものと考える.