著者
出口 栄三郎 西中 川駿 後藤 和文 阿久沢 正夫
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.14-18, 1998-08-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

鹿児島県トカラ列島の北端に位置する口之島に, 野生化牛の一群が生息している。1978年以降, 本牛の生息地域と生存頭数の現地調査を数度にわたり行った。野生化牛は15地域に生息し, いずれも標高200~300mの急傾斜と起伏に富んだ山岳地であり, 行動範囲は4区域に大別された。これまでの調査で確認された最大生息頭数は1990年の25頭であった。生息地域の環境は年々悪化し, 現在, 口之島野生化牛存続が危惧されている。
著者
阿久沢 正夫 高橋 隆之 中村 康男 竹之下 浩和 原 由香 森園 充 坂本 紘 岡本 嘉六 出口 栄三郎
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.313-317, 1989
被引用文献数
6 1

鹿児島県内を管轄する4ヵ所の畜犬管理センターに集められた犬について, レプトスピラ (8種類の血清型<I>autumnalis, hebdomadis, australis, icterohaemorrhagiae, canicola, pyrogenes, hardjo, pomona</I>) に対する抗体調査を1984年5月から1987年3月に行った. 性別による陽性率は雄26.2%, 雌18.8%で雄の方が高く, また推定年齢別の比較では, 加齢とともに陽性率は増加する傾向を示した. 県全体では, 806頭中190頭 (23.5%) が1種類以上の血清型に対して陽性であった. 地域別では, 加世田が204頭中57頭 (27.9%) で最も陽性率が高く, ついで宮之城が197頭中53頭 (26.9%), 国分は198頭中44頭 (22.2%), 鹿児島市が最も低く207頭中36頭 (17.4%) であった. 各地域の月別の陽性率は, 季節に関連する変動は認められなかった. 県内4ヵ所での各血清型抗体の検出数および検出率で, 各地域とも最も多いのは<I>icterohaemorrhagiae</I>であった. 次に多く検出されたのは鹿児島市と国分では<I>canicola</I>で, 加世田と宮之城では<I>hebdomadis</I>であった. 今回の調査において, 1972年から1979年の南九州における調査では検出されなかった<I>australis, pyrogenes, pomona</I>および<I>hardjo</I>に対する陽性反応が認められた. 検査した犬はすべて臨床的には健常であり, 同時に行った血液検査でも, BUNの値が正常範囲内ではあるが抗体陽性の犬は陰性の犬よりも有意に高い値 (P<0.05) を示したにすぎなかった.
著者
高木 光博 向井 周平 伏見 康生 松下 幸平 三好 宣彰 安田 宣紘 北島 秀生 高牟礼 千郎 松下 俊彦 北村 延夫 出口 栄三郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1281-1286, 2007-12-25

慢性鼓脹症状を呈する11か月齢黒毛和種牛の臨床,病理学的な検索を行った.同一飼料給与下の同月齢正常牛と比較して,飼料摂取量,排泄量は同等であったが,本牛の糞中には未消化な長い繊維が多く含まれていた.第1胃,2胃および4胃に肉眼的著変は無く,第3胃葉の重度形成不全と未発達な第2胃溝を認めた.第3胃乳頭部の組織構築に異常はみられなかった.牛の第3胃葉形成不全は鼓脹症の原因となる可能性が示された.