著者
水野 史人 秋田 利明 森岡 浩一 三上 直宣 野口 康久 小畑 貴司 四方 裕夫
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.395-398, 2013-09-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
9

症例は31歳,女性.胸痛,呼吸苦を主訴に来院,右房内腫瘍を認め,循環器内科入院となった.入院後,心タンポナーデとなり,心嚢ドレナージを施行された.上大静脈の高度狭窄および三尖弁への腫瘍の嵌頓が危惧され,組織診断未定のまま準緊急的に右房亜全摘および上大静脈切除,Xenomedica patchによる右房再建,人工血管による上大静脈再建を行った.病理所見は血管肉腫であった.心臓原発血管肉腫は稀な腫瘍であり,生存期間4~9カ月と予後不良であるが,本症例では手術を行うことでいったん退院でき,術後約5カ月間の生存期間を得ることができたので報告する.