著者
尾形 敏郎 金子 達夫 大林 民幸 佐藤 泰史 村井 則之 垣 伸明 森下 靖雄
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.317-319, 1999-09-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
11

症例はエホバの証人信者の45歳の女性で, 動悸および息切れを主訴とした. 右室流出路狭窄を伴うバルサルバ洞動脈瘤破裂の診断のもとに, 手術を施行した. 術中所見からは, 右室二腔症と心室中隔欠損症を合併したバルサルバ洞動脈瘤破裂であった. 無輸血下にバルサルバ洞動脈瘤切除およびパッチ閉鎖, 異常筋束切除および右室流出路パッチ拡大, 心室中隔欠損直接閉鎖を行った. 先天性心疾患の中でバルサルバ洞動脈瘤破裂と成人の右室二腔症はおのおの頻度が少なく, 両者の合併はさらに稀である. 両者を合併したエホバの証人信者の手術症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.
著者
入澤 友輔 都津川 敏範 吉鷹 秀範 田村 健太郎 石田 敦久 近沢 元太 毛利 教生 平岡 有努 松下 弘 坂口 太一
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.287-290, 2014 (Released:2014-10-23)
参考文献数
8

症例は64歳男性.半年前より胸痛を認め,大動脈弁狭窄症と診断されて,当科紹介受診となった.患者はエホバの証人信者であり,無輸血手術を希望した.そのため胸骨切開を行わない小切開大動脈弁置換術(MICS AVR)を行う方針とした.手術は右第4肋間開胸アプローチし,機械弁ATS AP360 20 mmで大動脈弁置換を行った.手術直後のHb値は11.2 g/dlであった.経過良好で術後17日に退院となった.エホバの証人信者のように無輸血で手術を行わなくてはならない場合,胸骨を切らずにアプローチするMICS AVRは,出血も少なく有用な方法と考えられた.
著者
桑原 史明 平手 裕市 森 俊輔 高野橋 暁 八神 啓 臼井 真人 宮田 義彌 吉川 雅治
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.280-283, 2009-07-15 (Released:2010-04-07)
参考文献数
14

症例は44歳,女性.不明熱の原因検索のため紹介された.血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出し,心臓超音波検査で大動脈弁に疣贅を認め,Duke criteriaに基づき感染性心内膜炎(IE)と診断した.バンコマイシン(VCM)とイセパマイシン(ISP)により治療を開始したが,その後も高熱が続き,皮疹も出現したため,抗生剤をテイコプラニン(TEIC)に変更したが効果が見られず,最終的には,第22病日よりリネゾリド(LZD)に変更した.LZDに変更して1週間後には解熱し,心内膜炎に伴う塞栓症による血管炎も軽快した.大動脈弁膜症による心不全を薬物療法によって管理しながらLZDを28日投与し,その時点で,その副作用と思われる貧血を認めたためLZDの投与を中止してレボフロキサシン(LVFX)の内服に変更した.感染の再燃がなく,機械弁による大動脈弁置換術を施行した.LZDは手術直前に投与し,術後も15日間継続した.その後,LVFXの経口投与に切り替えて術後35日目に退院した.退院後も1年間感染の再発がなく経過している.リネゾリドはMRSA心内膜炎の治療法の一つとして有効であると考えられるが,その投与法や投与期間に関しては,さらなる検討が必要である.
著者
久米 悠太 平松 健司 長嶋 光樹 松村 剛毅 山崎 健二
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.154-160, 2016-07-15 (Released:2016-08-19)
参考文献数
23

[背景]小児期の人工弁置換術には術後の脳関連合併症や血栓弁,成長に伴うサイズミスマッチなどの懸念があり可及的に弁形成術を行うことが望ましいが,やむを得ず弁置換術となる症例が存在する.15歳以下の孤立性僧帽弁疾患(孤立性僧帽弁閉鎖不全症,孤立性僧帽弁狭窄症)に対する僧帽弁形成術,僧帽弁置換術の遠隔期成績を検討した.[対象]1981年1月から2010年12月までに当院で僧帽弁形成術を行った30例(P群:男児21例,平均年齢4.6±4.6歳,平均体重13.4±8.9 kg),および機械弁による僧帽弁置換術を行った26例(R群:男児9例,6.2±4.6歳,平均体重16.4±11.2 kg)の計56例を対象とした.平均追跡期間9.3±7.8年,最長27.7年であった.また,孤立性僧帽弁閉鎖不全症(iMR)群と孤立性僧帽弁狭窄症(iMS)群とに分けて追加検討を行った.[結果]P群,R群ともに周術期死亡例はなく,遠隔期にR群で4例を失った.再手術はP群で6例,R群で5例に認めた.脳関連合併症は両群とも遠隔期に1例ずつ認めたのみで,人工弁感染は認めなかった.10年時および20年時での生存率はP群100%,100%,R群88.0%,80.0%であり有意差が見られた(p=0.043).10年時および20年時での再手術回避率はP群77.6%,77.6%,R群77.0%,70.0%,10年時における脳関連合併症回避率はともに100%であり有意差は見られなかった.iMR群とiMS群の10年時における生存率は100%と53.3%であり有意差がみられた(p=0.001).iMR群とiMS群の10年時における再手術回避率は77.1%と64.3%,20年時では72.0%と64.3%であり有意差は見られなかった.[結語]15歳以下の孤立性僧帽弁疾患に対する僧帽弁形成術,僧帽弁置換術の遠隔期成績は,懸念していた機械弁置換術後の脳関連合併症回避率や再手術回避率も僧帽弁形成術と有意差なく,小児期の僧帽弁手術として許容されるものであった.特に孤立性僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁手術の遠隔期成績は良好であった.孤立性僧帽弁狭窄症においては孤立性僧帽弁閉鎖不全症に劣らない再手術回避率であったが生存率には懸念が残る結果となった.
著者
斎藤 雄平 添田 健 瀬戸崎 修司 原田 寿夫 三村 麻郎
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.106-109, 2009
被引用文献数
1

収縮性心膜炎は通常,慢性的な経過をたどることが多いとされる.心嚢水貯留に対するドレナージから化膿性心膜炎となったのを契機に,急速に収縮性心膜炎を呈した症例に対して,感染活動期に心膜剥皮術を行い,1期的に治癒せしめることができたので報告する.症例は82歳,男性.心嚢水の精査目的で心嚢ドレーンが留置されたが,その7日後に膿性の排液を認めた.細菌培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,抗生剤が投与されたが,全身倦怠感,全身の浮腫,呼吸困難が出現するようになった.Swan-Ganzカテーテル検査にてdip and plateau型の右室圧波形を認めた.CTにて膿性心嚢水の貯留が疑われ,心窩部小切開にて再度心嚢ドレナージを施行したが,血行動態の改善はみられず,乏尿となってきたため,十分なドレナージが必要と判断し,胸骨正中切開によるアプローチにて開胸した.心臓周囲には膿の貯留を認め,心膜は著明に肥厚しており収縮性心膜炎の所見であった.人工心肺補助下に心膜を剥皮し,十分な洗浄後,1期的に閉鎖した.術直後より血行動態は著明に改善した.ドレーンを利用した持続洗浄と抗生剤の投与を行い,術後32日目に退院した.本例のように,感染性心膜炎では急速な経過で収縮性心膜炎へ移行することがあり,適切な外科的治療を念頭に置いた注意深い観察が必要と思われた.また,可及的な心膜切除と持続洗浄を行うことで1期的な治療が可能であった.
著者
吉田 貞夫 軸屋 智昭 平松 祐司 島田 知則 榊原 謙 厚美 直孝 三井 利夫 堀 原一
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.433-436, 1993-09-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
16

高位腹部大動脈閉塞症は陰萎, 間歇性跛行などの慢性虚血症状を呈する場合が多いとされる疾患である. 今回著者らは, 急速に増悪した両下肢および骨盤内臓器の虚血症状を主訴とした高位腹部大動脈閉塞症例を経験したので報告する. 患者は57歳, 女性. 軽度の間歇性跛行を自覚していたが, 突然両下肢および骨盤内臓器の重症虚血症状が出現し, 血管造影で高位腹部大動脈閉塞症と診断された. 腎動脈上遮断, 血栓摘除, 腎動脈下遮断でY型人工血管置換術を行った. 術中 Laser Doppler 血流計測でS状結腸の重篤な虚血を証明しえた. また, 術前から認められていた右腎動脈狭窄の急速な進行を認め, 術後に経皮経管動脈形成術を必要とした. 高位腹部大動脈閉塞症の急性増悪は主側副血行路の閉塞が原因と考えられた. また, 腎動脈病変を伴う場合, たとえそれが軽症でも同時血行再建等の適応があるものと考えられた.
著者
柴田 利彦 山田 正 石原 寛治 鈴木 範男 永来 正隆 藤井 弘一 末広 茂文 佐々木 康之 上田 真喜子
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.217-220, 1994-05-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

Systemic lupus erythematosus (SLE) に合併する血管病変は主に細小動脈の閉塞性病変とされており, 大血管に拡張性病変を合併することは希である. 今回SLEに合併した若年者腹部大動脈瘤を経験したので報告する. 病理所見では大動脈 vasa vasorum の増生・内膜肥厚と炎症性細胞浸潤を認め, 動脈硬化性の動脈瘤とは異なる像を呈していた. 本症例の腹部大動脈瘤は vasa vasorum の増生・内腔狭窄に起因して生じた可能性が示唆された.

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出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement, pp.S155-S192, 2008-01-31 (Released:2009-12-09)

[発行日:2008/01/31][公開日:2009/12/09]
著者
冨澤 康子
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.11-16, 2009-01-15 (Released:2010-02-08)
参考文献数
27

オンラインの学術データベースにはPubMed, Scopus, Web of Science(WoS),他がある.Impact Factor(IF)や,論文数と被引用回数を一つの数字で示すh-indexを用いて雑誌の評価を行うことが可能である.国内外の胸部心臓血管外科系雑誌の評価および投稿雑誌の選択方法を検討した.現在,日本発でPubMedに収載されている外科雑誌は6誌,WoSにはSurgery Today(ST)と脳神経外科の2誌,ScopusのAnalyticsでSurgeryのリストに収載されていた胸部心臓血管外科系ではST, Ann. Thorac. Cardiovasc. Surg.(ATCVS), Gen. Thorac. Cardiovasc. Surg.,胸部外科の4誌で,h-indexが最も高かったのはSTの27で,被引用回数が増加しており,しかもトレンドが上昇傾向であった.IFのある国内外の胸部心臓血管外科系雑誌は8誌あり,IFとh-indexには相関関係があった(p=0.0002).J. Thorac. Cardiovasc. Surg., Ann. Thorac. Surg., J. Vasc. Surg.の3誌のh-indexは近似しており119以上あったが,Eur. J. Cardiothorac. Surg.は59であった.J. Cardiovasc. Surg.(JCVS), Thorac. Cardiovasc. Surg., J. Card. Surg., Heart Surg. ForumおよびSTの中ではJCVSに勢いがあった.ATCVSのh-index 17から仮想のIFを計算すると0.3であった.投稿時には雑誌のIFばかりでなく分析機能を活用し勢いがあり将来に期待できる雑誌を選択することが肝要である.