著者
床井浩平 森木 大樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1558-1565, 2006-05-15

コンピュータグラフィックスにおいて自然現象や自然物体を表現することは,シーンの現実感を向上させるのに有効な手段である.なかでも積雪の表現は,季節感を表すのに重要な役割を果たす.しかし,任意のシーンを覆う雪の形状(積雪形状)の人手によるモデリングは非常に手間のかかる作業となる.このためシミュレーションなどによって,自動的に積雪形状を求められることが望ましい.本論文では,降雪を妨げる遮蔽物の有無や降下する雪の不規則な動き,および積雪後の雪の移動を考慮した,積雪形状の高速なモデリング手法を提案する.この手法は遮蔽物の検出と雪の不規則な動きの影響の算出にシャドウマップ法を用い,着地した雪を安定な位置へ移動させることによって最終的な積雪形状を決定する.本手法は降雪により刻々と変化する積雪形状を,リアルタイムに再現可能である.