著者
森永 繁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.13-20, 1996-08-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

乾燥収縮ひび割れとマスコンクリートの水和熱に起因するひび割れを対象とし, 指針類に示されているひび割れ対策が, 必ずしも実際の現場における実用的対策にはなっておらず, 両者にかなりの矛盾点があることを示した。ひび割れが発生するか否かは, ひずみと伸び能力との大小関係, または応力と引張強度との大小関係に基づいて判定されているが, この際, 数々の条件が仮定される。これらの仮定条件の中でも, 特にコンクリートの変形, 応力, 強度を支配する物性値がまだ適切には把握されていないことが, 矛盾が生じる原因のひとつであることを指摘した。