著者
杉原 久義 二改 俊章 森浦 正憲 神谷 和人 田中 哲之助
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.47-57, 1972-01-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

25年ないし31年間デシケータ内で常温に保存された雨傘蛇(Bungarus multicinctus),青ハブ(Trimeresurus gramineus),台湾ハブ(Trimeresurus mucrosquamatus)ハブ(奄美)(Trimeresurus flavoviridis),百歩蛇(Agkistrodon acutus)の各毒の致死活性,出血活性および各種酵素活性を測定し,新鮮毒のそれと比較して長期保存における活性の変化を調べた。これらのうち百歩蛇毒の各種活性は一般的に安定であることが注目された。またハブ毒が最も不安定で,各種活性共減少傾向が著しかつた。雨傘蛇の31年保存毒を除き,各毒共通して5'-nucleotidase活性は極めて安定で,ほとんど活性の減少は見られなかつた。ついでNADase,ATPase活性が安定であつた。L-amino acid oxidase活性は不安定で活性の減少が著しかつた。ついでglycerophosphatase,出血活性も減少傾向が著明であつた。また致死活性も割合不安定で,保存中に徐々に活性が減少した。同一の酵素活性でも蛇毒の種類が異なると活性の減少率が異なつていた。この点より酵素タンパク質の安定性は毒の種類によつて違つていることがわかる。また致死活性と相関して減少するような活性は明瞭には認められなかった。