著者
森田 能子
出版者
Biophilia Rehabilitation Academy
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-40, 2006

(はじめに) 褥瘡対策はH14年10月に未実施減算というこれまでに経験のない罰則(減算)として保険診療に初登場した。当院でもその3年前より褥瘡予防勉強会を立ち上げており、タイムリーなできごととして歓迎した。減算とはいえ病院経営陣に大手を振って様々な褥瘡対策の要請ができる後押しとなったことは評価される。未実施とは、(図1)に示す褥瘡対策としての3項目を決められたように実施しなければ、減算とは、1日5点で日数をかけて全入院患者数(床)で減算額を算出することで、当院では1日の入院患者を500で年間総額912万円の減算額と計算された。減算はきびしいものであったが、H14年度に当院で購入したマットの総計が約360万円にも及んだことを考えると、経営者に褥瘡予防用マットの整備を説得する効果は十分にあったといえる。開始後1年半のH16年4月に褥瘡対策は減算という罰則から解放され、褥瘡対策の計画を立案する必要がある患者に対し適切な計画を立てたら、1入院期間に付きわずか20点であるが加算と改訂された。