著者
滝沢 茂男
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.85-87, 2017
被引用文献数
1

<p> 著者の講演と著作を基礎に、「『介護依存から自立へ』を実現して、依存せざるを得ないとする高齢者の意識を変え、高齢者の増加を負の要因としない持続可能な超高齢社会の構築、そして新たな文明の確立に関する考察」を、次の諸点から述べています。</p><p> 1.門外漢の挑戦、</p><p> 2.米国で認められた方法特許、</p><p> 3.エイジングクライシスとライフステージの拡大:社会保障関係費逼迫の予見、人口ピラミッドが逆転することによる社会崩壊「AGING CRISIS」を指摘、「ライフステージの拡大」新たな神話の提案、「バイオフィリア」の語源、</p><p> 4.国際活動の推進、</p><p> 5.機序の解明に向けて、</p><p> 6.パラダイムシフト、</p><p> 7.二つのパラダイムシフトが必要、</p><p> 8.市民の要求、</p><p> 9.個の確立と自立</p><p> 江戸幕府を開いた徳川家康は「民はよらしむべし、知らしむべからず」を治世の要諦としました。以来、長い間日本人は、官への依存を美徳として、正しく情報を得て自ら判断し行動することはあまりありませんでした。個の確立と自立は望まれなかったのです。情報を伝えないことから始まった年金騒動を振り返れば、これは現在まで続いていたように思えます。国の借金は地方分を加えると1千兆円を超えています。もう官へ依存できない状態になっています。</p>
著者
滝沢 茂男
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.104-106, 2017
被引用文献数
1

<p> 本会は2013年10月14―15日に、在日本イタリア大使館と在イタリア日本大使館、福祉用具の総本山とも言えるテクノエイド協会・常陸宮正仁親王殿下を総裁に奉戴する日本障害者リハビリテーション協会の後援の下、イタリア共和国キエーティ市で第10回大会を開催しました。</p><p> 天正遣欧少年使節団、バチカン、ローマ帝国など日本とイタリアの間には、豊かな歴史や文化、そして交流があります。またバチカン、ローマ帝国というと12使徒といわれる少数の人々から始まった世界中に20億人を超える信者がいるキリスト教を思い浮かべます。さらに80歳を超える平均寿命という共通点もあります。</p><p> この開催に併せ、学会ホームページの更改を行い、我々は「2つのパラダイムシフトを実現する研究と成果の普及を目的とする」を公開しました。</p><p> すなわちこの学会の目的は、第1のパラダイムシフト「リハ医学の再構築」により、人類の長寿命化の世紀に、人類の福祉の向上に欠かすことのできない健康寿命の延伸を、複合領域(医学・工学(機械・情報)・社会科学)の研究推進を基礎に、「自律的リハビリテーション(リハ)手法をリハ医療に主導的手法として取り込む」事により、リハ医学の再構築を行い、第2のパラダイムシフト「高齢になって、障害を得ても自立生活を送り続けることができる、そうするという意識転換を実現する」を可能にするものです。</p><p> 我々のすすめる「リハ医学の再構築」を考えると、これまでの「我が国のリハ医学の人的変化:2012年までの10年ほどでリハ専門医が810人から1787人と倍増し、理学療法士が470%10万人以上に増加した。ひるがえって担当者の増加に伴い、減少すると思われる要介護者は2012年に554万人と2000年の218万人から倍増」の状況は、高齢者の増加が大きな要因とはいえ、リハ医療を再構築する必要があることを示唆しています。</p><p> いまは文字通り12使徒にもたとえられる少数の研究チームです。そうした現状ですが、我々の志は、歴史上初めて高齢者が年少者より多い社会(日本・イタリア・世界の多くの国々)において、研究を通じて2つのパラダイムシフトを実現し、超高齢社会を持続可能にすることです。</p><p> 20億人以上の信徒を持つようになったキリスト教を振り返れば、「塊より始めよ、少数のグループによる活動が歴史的成果を導く。」です。本大会がその基礎になったものと確信しています。読者諸兄のご参加を期待しています。</p>
著者
渡部 朋子 渡部 一郎
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-4, 2007-08-25 (Released:2008-01-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

メタボリックシンドロームは,若年期から継続されてきた食•運動習慣によるところが大きい.大学生を対象に,アンケートによる身体,運動,食行動等の調査を行い,若年者の腹囲と食習慣の関係を腹囲要注意群と正常群に分け検討する.腹囲は身長,体重,ヒップ,BMI,最高血圧,肩甲骨下部皮下脂肪厚と有意に相関した.腹囲要注意群と正常群との比較検討において,最高血圧では腹囲要注意群が正常群より有意に高く,すでにメタボリックシンドロームの危険性を示していた.内臓脂肪の減少には,バランスの取れた食事と運動が大切であり,夜間間食をしないことが,有用であることが示された.
著者
福井 圀彦 木村 哲彦 滝沢 茂男
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-32, 2006-03-31 (Released:2008-01-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

患側優先の神経筋促通法(法と略)によるリハビリテーション(リハ)を見直す必要がある.法の理論や手技は進歩に伴い,片麻痺の改善を期待させるが,診察現場で片麻痺患者を例に40年昔と現在と比較すると,診察結果は昔と変わっていない.法が治療に有効との感じを受けない.患側優先で総合的な協調運動を行う事は,運動パターンの正常化には適するとされるが,実用に繋がるまでに時間を要し,その間に健側・躯幹の廃用をきたす.健側優先の法では患側優先の場合よりも健側であるため放電による促通の効果が大きいとみられ,リハの途中で,廃用状態で臥床継続状態になってしまう患者が少なく,実用に繋がる事が多い.近年の神経幹細胞の新生力に関する研究から,神経幹細胞が,損傷部位の機能回復に役立つ事も解明され,健側優先の運動リハの持つ有効性の機序解明も期待できる.また,神経伝達物質産生細胞として,神経系リハの領域に影響を及ぼすと考察する.
著者
石丸 知二 戸川 忠玲 竹内 善浩 宮原 圭 足立 かおる 神田 浩子 村上 和代 阿南 宏美 岡本 雄三
出版者
Biophilia Rehabilitation Academy
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-28, 2002

当医療法人は母体病院を中心に, 介護老人保健施設·訪問看護ステーション·ヘルパーステーション·在宅介護支援センターを併設している. 病院は急性期病棟30床, 特殊疾患病棟40床からなり, 老健は入所48床で2, 3階の2フロアー制である. 平成10年, 「パタパタ」·「コロコロ」による下肢トレーニング(現呼称は創動運動)を紹介され, 理学療法士(以下, PT)によるリハ室練習とは別に病棟や居室で行うリハビリ(以下, 病棟·居室リハ)の一部として開始し, その後滝沢氏の来院, オリエンテーション等を受けた. 一時は病棟で時間を決め毎日実施されていたが, 病棟の編制変え, 人員の異動等があり次第に尻すぼみとなり継続の難しさを感じているところである.<BR>今回, 「タキザワ式リハビリプログラム」及び病棟·居室リハに対する職員の意識調査を実施したので, その結果に考察を含めて報告する.
著者
森田 能子
出版者
Biophilia Rehabilitation Academy
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-40, 2006

(はじめに) 褥瘡対策はH14年10月に未実施減算というこれまでに経験のない罰則(減算)として保険診療に初登場した。当院でもその3年前より褥瘡予防勉強会を立ち上げており、タイムリーなできごととして歓迎した。減算とはいえ病院経営陣に大手を振って様々な褥瘡対策の要請ができる後押しとなったことは評価される。未実施とは、(図1)に示す褥瘡対策としての3項目を決められたように実施しなければ、減算とは、1日5点で日数をかけて全入院患者数(床)で減算額を算出することで、当院では1日の入院患者を500で年間総額912万円の減算額と計算された。減算はきびしいものであったが、H14年度に当院で購入したマットの総計が約360万円にも及んだことを考えると、経営者に褥瘡予防用マットの整備を説得する効果は十分にあったといえる。開始後1年半のH16年4月に褥瘡対策は減算という罰則から解放され、褥瘡対策の計画を立案する必要がある患者に対し適切な計画を立てたら、1入院期間に付きわずか20点であるが加算と改訂された。
著者
野本 洋平 山下 和彦 滝沢 茂男 家本 晃 斎藤 正男
出版者
Biophilia Rehabilitation Academy
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.19-22, 2002

高齢社会に伴い, 寝たきりや座りきりといった新しい社会問題が起きている. 2025年には, 虚弱·要介護の痴呆高齢者·寝たきり高齢者を合わせた推計は520万人になると予測され, 脳血管障害や転倒骨折などを経験した高齢者の生活の質(Quality of Life:QOL)の確保や自立支援など早急に解決しなくてはならない課題を抱えている. より効果的にリハビリを行うために, タキザワ式リハビリテーションプログラムが開発され, その中で創動運動が実施されている. 下服運動は下肢リハビリのため, 対象者自ら患側の足を健側の足で動作させるものである. しかしその定量的評価や効果は解析されていない.<BR>そこで本研究では, 創動運動による効果を総合的に検討するために, 筋電図による下肢の筋活動と, 運動力学的側面から対象者の動作を定量的に解析するシステムを開発した.