著者
森田 厚 小林 盾 川端 健嗣
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-10, 2019-03

この論文では、理美容師の志望者に着目し、理容師志望者と美容師志望者、男性と女性とで、志望動機に違いがあるのかを検討する。さらに、男性の理容師志望者、女性の理容師志望者、男性の美容師志望者、女性の美容師志望者の4 グループで、志望動機が異なるかを調べる。データは、首都圏にある理美容専門学校で、量的調査を実施して収集した(有効回収数は268 人、回収率は当日の出席者全員)。なぜ理容師(または美容師)になりたいと思ったかを、自由回答で記述してもらい、計量テキスト分析した。その結果、理容師志望者と美容師志望者、男性と女性、4 グループで、志望動機に違いがあった。とくに、男性の理容師志望者には家業が、女性の理容師志望者には技術修得が、男性の美容師志望者には憧れ・向いてることが、女性の美容師志望者には人を喜ばせることが、特徴的な志望動機となっていた。したがって、理美容師への動機は多様であり、グループごとに特徴があった。このことは、理美容師の入職や転職において、グループごとに異なるサポートが必要であることを示唆する。