著者
森田 泰彦
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.416-417, 1990-05-01 (Released:2009-11-13)

L-アスコルビン酸 (以下L-AsAと略す) は抗壊血病活性をもつ水溶性ビタミンで一般にはビタミンCとして知られている。AsAにはL-体とD-体とが存在するが, 抗壊血病作用をもつのはL-体でD-体はほとんど作用がない。1920年に抗壊血病作用を示す成分がビタミンCと〓命名された (Drummondにより) が, その後Szent-Gyorgyiらがウシの副じん (腎), オレンジ, キャベッ等から結晶として単離してヘキスロン酸と命名した物質がビタミンCと同一物質であることが確認され, 抗壊血病の意味からアスコルビン酸と命名された。天然にはかんきつ (柑橘) 類, そ (蔬) 菜類, 緑茶等に多く含まれているが, 純度の高い結晶が容易に大量生産されるので天然物から抽出, 単離することは行われていない。