- 著者
-
亀山 統一
森田 琴美
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.131, 2020
<p>琉球列島のデイゴ<i>Erythrina variegata</i>は葉や若枝に侵入害虫デイゴヒメコバチの激しい加害を受けているが、被害木の一部に急速な枯死にいたる個体が存在する。この枯死被害は、<i>Fusarium solani</i> species complex (以下FSSC)に属する菌類を主因とすることが、演者を含む共同研究により明らかにされている。FSSCは沖縄島の複数地点と石垣島のデイゴ罹病木から分離され、琉球列島の広域に分布しているものと推測された。本研究では、沖縄島、宮古島、伊良部島、石垣島においてデイゴの枝枯・胴枯病徴の患部を採取して菌類を分離し、形態及び分子分類により種を推定した。いずれの島でもFSSCが分離された。患部から高率で分離されたFSSCおよび別種の菌株について、接種試験を試みた。デイゴヒメコバチが侵入している琉球諸島においても入手容易な材料として、デイゴの葉柄への接種を試みた。付傷接種によりFSSCおよび別種の菌株の多くが病原性を示した。葉柄への接種試験の手法としての有効性をまず確認した。その上で、菌株間での病原性の強弱等に着目して検討を加えるとともに、温度条件など成木での病徴進展に関与している可能性のある因子についても検討を加えた。</p>