著者
森谷 智子
出版者
長崎県立大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:18841104)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.1-17, 2012-03

2007年2月にサブプライム問題が表面化し、その後、2009年にかけて金融危機が生じたのは記憶に新しい。サブプライム危機が発端となり、証券化商品市場に対する様々な問題が指摘されることになった。このようなことを受け、今回の金融危機の原因究明が早急に求められている。これまで、投資するうえで安全性が高いと評価されてきた証券化商品の信用力が問われると同時に、証券化商品の発行額が低迷している。今回の金融危機は、証券化という金融技術が招いたと一般的に批判されているが、格付機関による格付けの甘さ、さらには大手金融機関(投資銀行)のお金の流れに対する問題をも指摘されるようになっている。こういった根本的な問題を解決するために、2010年7月、米国においてドッド=フランク法が施行された。このドッド=フランク法は、1930年代の脆弱な金融制度を抜本的に変革するものとして期待されている。この法律に基づき、現在、金融機能全体の見直しが進められている。そこで、本稿では、今後、証券化商品市場を再活性化させていくためには、どのような施策が必要であるのかについて検討している。