著者
植原 俊晴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.37-42, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究では,中学生を対象にした金属の学習で既有知識と新しい知識を意図的に相互交渉させる学習活動を取り入れた授業を行い,その学習効果や学習者の動機づけに対する影響について検討した.具体的には,前者について,1.金属のルール適用の促進,2.金属のルール想起の促進の2点,後者について,1.実験結果の意外性,2.実験の楽しさの2点について,それぞれ調査を行った.その結果,学習効果について,学習者のルール適用は促進されたが.ルール想起に対する促進的効果は認められなかった.一方,動機づけについて,学習者は実験結果をある程度の意外感を持って受け止め,実験に対して一定の楽しさを感じていた.したがって,知識構造の中にあらかじめ学習活動の結果を説明し得る知識を準備しておくことは,学習者の動機づけを低減させないことが示唆された.