著者
小瀬 航 鈴木 栄幸
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.91-94, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

本研究では、大学生を対象とした説明的文章の読解方略の現状を調査するとともに、先行研究をもとにその現状を改善するための読解手法を提案する。まず、大学生を対象に読解学習の実態調査を行い、説明的文章読解において文章全体の構造を把握する作業(=構造注目方略)が不十分であるという知見を得た。この結果を踏まえ、文章全体の構造に注目させるための手法として「タイトル生成法」を提案した。大学生対象に実践したところ、記憶レベルでの理解度には有意傾向の差が見られたものの、状況モデルレベルでの理解度では差が見られなかった。今後、実践の具体的方法を見直し、改善を施した上で再度実践を行う予定である。
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.31-36, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

現在インターネット上で展開している「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」における活動内容を紹介し,科学リテラシー向上に向けた科学教育の重要性を主張する.本稿では特に,蔓延する疑似科学にまつわる諸問題に対応するための,教育成果の「社会的な活用」という側面に焦点を当てた.これまでに収集した知見から,疑似科学に関連する問題の多くは,社会的な人間関係と深く関わっていることが推定できる.そのため,単なる科学的知識の蓄積だけでない実践的な問題解決能力も,これからの教育成果には求められるだろう.こうした社会状況において,科学教育の実践としての「疑似科学」はよい教材として機能することが期待でき,本稿を通してその意義を検討したいと思う.
著者
黒木 伸明
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.31-32, 1991-01-19 (Released:2017-11-17)

小学校教員養成課程の第2学年の学生を対象にした調査の結果、殆ど全ての学生が「数学が嫌いである」「公式を暗記して当てはめればよい」「数学は閉じた学問である」等、算数・数学を指導するには適切とは言いがたい数学観を持っている。また、このような数学観を持つようになったのは、中学校時代からであること、その原因とて、中学校・高等学校での数学活動が与えられた問題を解くこと、すなわち、狭義の問題解決を中心にしてきたことが考えられることが明らかになった。そこで、教科専門科目「算数」の授業を、「数学における創造活動を体験させることにより、より望ましい数学観を持たせることができる」という仮説のもとに実践した。その結果、僅かではあるが、「数学に対する圧迫感・不安感」が軽減するという結果が得られた。
著者
木村 優里
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.47-52, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

本研究の目的は,成人の科学教育を「充実志向」の視点から検討するために,アマチュアの科学実践において好奇心がどのように存在しているかを明かにすることである.そこで,ハイアマチュアを対象に半構造化インタビューを実施し,M-GTAを用いて分析した.分析結果より,ハイアマチュアの科学実践は,好奇心だけでなく,独自のこだわりや社会的要因と密接に関係している活動であることが示された.そして,その活動過程で,好奇心が醸成されたり,愛着意識の活性化によってリソースが捻出され,さらに活動が継続するという互いに支え合う関係が構築されている.
著者
木村 優里 小川 正賢
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.171-176, 2018-12-08 (Released:2018-12-05)
参考文献数
20

本研究の目的は,「科学実践に関わる市民」を捉える新しい理論枠組みの検討である.先行研究を参考に検討し,「科学者」と「市民」の間に「科学アマチュア群」を定位し,その中を,知識・技能のレベル,活動に対する積極性,関与している期間の3軸を指標として区分することで,多様な「科学実践に関わる市民」を捉える枠組みを提案した.
著者
長谷 実李 青山 和裕
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.53-58, 2019

<p>本研究の目的は,じゃんけんの強さ(弱さ)とその人の性格特徴には相関性があるのか調査し,明らかにすることである。本稿ではその調査方法として,心理検査法として公的にも利用されているYG性格検査を用いて調査協力者の検査結果とじゃんけんの勝ち数を総合し分析し,その結果からじゃんけんと性格特徴にはどのような相関性があるのか検討・考察する。調査の結果,ノンパラメトリック検定の1つであるクラスカル・ウォリス検定を行ったところ,YG性格検査で分類される5つの性格型の各群におけるじゃんけんの勝率に有意差は得られなかった。今後,別の条件を設定したじゃんけんや,他の心理検査法の結果によって異なる結果を得られる可能性があるため,更なる調査が必要である。</p>
著者
川上 輝 宮脇 亮介
出版者
一般社団法人日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.45-48, 2000-12-09
被引用文献数
2
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.37-42, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

本研究は、国際成人力調査(PIAAC)の報告書の中で疑問に思った7つの事項について、PIAAC のデータを用いて二次分析を行った結果についての報告である。疑問に対する解答は2章の各節の中で述べた。
著者
平田 昭雄 青戸 優花
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.23-28, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
6

平成20年代日本で文部科学省他の日本国政府当局により発行された3点の中学生向け放射線教育関連副読本の内容を分析し見較べたところ、次のようなことが確認された。すなわち、初代副読本においては原子力発電と放射線関連科学技術が、二代副読本においては放射線の性質と被曝の影響が、三代副読本においては原発事故と放射線被害、被曝、復興が、それぞれ重点的に扱われるという変遷を辿っていた。そして、各副読本の作成、発行に当たっては、国のエネルギー基本計画、2011年3月の原発事故、同事故により生じた被災者の実情、などの社会的情勢が強く影響していたことを認識した。"
著者
仲矢 史雄 中山 実 野原 佳代子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.49-52, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
8

科学技術リテラシーの構成概念は、科学技術の基本的な知識と、科学的思考力・批判的能力や科学的態度を包括している。戦後、アメリカ占領軍の強力な指導権のもと作られた我が国最初の学習指導要領・理科編には、その政策の一環として民主主義社会の科学的精神の重要性を説かれている。その結果、旧来の教科書と大きく異なる理科教科書「小学生の科学」が文部省によって編纂された。その内容は、実生活に基づく学習者の自主的な思考を重視する問題解決型であり、また当時最高の紙質 4 色オフセット印刷、1 学年当たりの総ページ数は 300 ページを超えるという質、量ともに破格の内容であった。この教科書は、その後の我が国の理科教育に大きな影響をおよぼしているが、一方で、その後の理科教科書が系統学習型になっており、社会的に受容れず継承されていない要素も多い。本研究では、教育資料として貴重な「小学生の科学」の原資料をデジタルデータ(画像およびテキスト)化し、多面的な研究を行った。
著者
内田 暁雄 三宅 由洋 田口 清行 村本 雄一郎 田中 均
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.121-124, 2010 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

プレートテクトニクスの教材は,教科書や資料集では地震や火山活動,造山活動等の単元の図・表・写真等で学習することが多いようである。本論では,子ども達が野外観察をしたときにプレートテクトニクスを実感させる教材としてメランジェを取り上げる。メランジェとは一般に“地図に描ける大きさで地層としての連続性がなく,細粒の破断した基質の中に色々な大きさや種類からなる礫・岩塊を含むような構造をもった地質体”として定義されている。熊本県人吉市大畑地先には,陸源物質からなる破断した砂岩,砂岩頁岩互層の中に海洋地殻を構成していた枕状溶岩(玄武岩),遠洋性堆積物である赤色~白色チャート,赤色珪質泥岩等が一つの露頭で観察することができる。すなわち,形成場所や形成時代が異なるさまざまな岩相が一つの露頭で観察される理由を考えさせ,理解させることが子ども達にプレートテクトニクスを実感させることに繋がる教材と考えている。
著者
海野 桃子 安藤 秀俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.99-102, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
17

現在,理科の自由研究は,学校における理科教育の一端として広く行われている。しかし,学習指導要領においては,明確に記されてはおらず,自由研究の歴史的背景や今日までの経緯についてはあまり知られていない。そこで本研究では,理科の自由研究の明治時代から現在までの流れと教師の役割などについてまとめた。更に附属小学校の児童に自由研究についての好き嫌い,楽しさ,頑張り,やる気などのアンケート調査を行った。
著者
齊藤 智樹 熊野 善介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.51-56, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
19

著者らは,科学教育研究における科学的な研究方法論についての研究の手始めとして,NRC(National Research Council, 2002)が示した科学的原則や研究デザイン(計画)の原則を示し,それがいわゆる自然科学と何ら変わらないことを示した.同様に,混合研究法(Creswell・Plano Clark, 2007)にまつわる哲学から,量的な検討や質的な検討のどちらを採用しているかといった方法論が,研究を科学的なものにしている訳ではないことを指摘し,プラグマティズムの基礎となる可謬主義から,現代的教育課題とその実践的・実証的研究との関連性を述べた.また,アクション・リサーチ(Action Research)とデザイン研究(Design-based Research)の比較から,これらを理論的枠組みと捉え,議論可能な文法を持った方法を構築し,その方法論を議論していくという,これからの科学的な教育研究の方向性について考察した.
著者
岡本 紗知
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.67-72, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

科学リテラシーの向上には、『科学の本質:Nature of Science(NOS)』を適切に理解する必要がある。本研究は、国内の大学生が NOS をどの程度適切に理解しているかを把握するために実施した。具体的には、入学直後の国立大学 1 年生、理系・文系の各 2 学部に所属する学生を対象にアンケート調査を実施し、NOS(6 テーマ)の理解度を調べた。さらに、学生の所属学部や高校で学んだ理科科目の違いが NOS 理解に影響を与えるかどうかを調べた。その結果、理系と文系の学生間で、NOS の平均的な理解度に有意差は見られないことがわかった。一方、NOS 各テーマに注目した場合、学部や選択理科科目により、理解度の異なる NOS テーマがあることが明らかとなった。特に、科学に対する社会的および文化的影響や、科学研究における想像力・創造力の役割では、学部間で有意差が見られた。また高校で「化学・物理」を選択した場合、「地学」を選択した場合と比べて、科学の暫定的性質をより正しく理解する傾向があることも明らかとなった。本研究から、理科科目の総学習時間ではなく、選択した科目が、NOS の理解に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
黒田 友貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.113-116, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
11

本研究では、愛媛大学理学部が実施した新入生セミナーAに着目し、授業日程を短期かつ集中的な日程で実施したことによる効果について検討を行なった。その結果、メインプログラムが終了した時点での調査結果であることに留意が必要なものの、到達目標の達成度はすべての項目でほぼ9割を越えており、授業において十分な学修機会が確保されていることが確認され、ソーシャル・スキルへ効果やSTEM人材に求められる能力においても全ての項目で8割以上の受講者が学修到達度については肯定的な回答をしていることから、短期的な日程においても十分学修を担保できることが明らかとなった。今後の課題として、学修効果の持続性に関する調査や基礎的な大学生活に必要なスキルの獲得とプログラムの関係性について検討することが挙げられる。
著者
佐野 友香莉 辻 宏子 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.181-186, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
12

本研究では,思考力などの21世紀を生き抜く力の育成に向けて開発した,ゲーム型学習教材「ラスワン」における,教材としての特徴を示した上で,大学生22名を対象とした調査より,⑴本教材と学習者が持っている思考力の関係性,⑵本教材をプレイする際に用いる推論方法,について検討した.その結果,⑴論理的思考力の高い学習者は,論理的思考力の低い学習者よりも,本教材の起こりうる場面における適切な推察について問く「場面提示テスト」において,場面に応じて適切な選択をする傾向があること、⑵学習者は,本教材をプレイする際,および,場面提示テストに回答する際,論理的思考力を用いており,その推論方法は演繹的推論に限らず,帰納的推論および類似的推論も用いていること,が示された.また,調査によって,計算を間違えた際に即時にフィードバックができるようなシステムを,ゲームデザインに組み込むべきであることが,明らかになった.
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.5-8, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
5

たとえばPISA(OECD 生徒の学習到達度調査)では,生徒が習得を目指す科学的リテラシーに関して,科学・技術に関する議論に積極的に参加できる態度の形成が望ましいとしている.また,議論を建設的に行うために,誤った論法=誤謬に陥らないようにすることが重要である.そこで,筆者らが構築・運営している「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」におけるコメントを事例とし,科学が関与する議論においてどのような誤謬がみられるかについて分析した.結果,議論を閲覧する第三者に向けて自身の主張の正当性を演出するような誤謬が多くみられた.これを,現代社会におけるネット上での議論に特有の問題として位置づけ,こうした方面を重点的に学習する教材開発を目指している.