著者
西田 知博 植原 啓介 高橋 尚子 中野 由章
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.226-233, 2019-08-10

2016 年度から 3 年間にわたり,文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業「情報学的アプローチ」による「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発」において,「思考力・判断力・表現力」を評価する「情報科」CBT システムを開発してきた.ここでは,2018 年度実施した試行試験用システムと,大学 1 年生および高校生を対象に行なった試行試験とその結果を紹介する.2018 年度の試験は大学生が 111 名,高校生が 1531 名受験した.試験は小問と大問の 2 つのパートに分けて実施し,IRT で用いるような小問で思考力が測れるかの検証を行った.その結果,小問と大問の成績に一定の相関は見られたものの,更に多くの問題を試し,相関の有無を見極める必要があるという結論が得られた.また,大問に関しては,プログラムを作成するのと同等の能力がプログラムのテストを行わせる問題でも測れる可能性があることや,高校の教育内容では取り扱っていない内容でも,問題文を読み解き,間違いを探したり,条件から必要な項目を選択するなどで思考力などを総合的に問う出題が可能であることが伺えた.