著者
植村 信保
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.643, pp.643_139-643_154, 2018-12-31 (Released:2020-03-26)
参考文献数
5

かつての保険行政は生命保険会社の健全性確保に際し,純保険料式責任準備金の積み立てと株式含み益に大きく依存し,銀行と同様の切り口で保険会社の監督に当たった結果,ロックイン方式の弱点を見過ごした。このことが後の生保危機を増幅してしまったと考えられる。リスクベースの新たな健全性指標として導入されたソルベンシー・マージン比率も生保危機の局面では十分機能しなかった。その後の健全性規制の動向を確認すると,ソルベンシー・マージン比率の見直しを段階的に進める方針を打ち出したものの,中期的に進めるとした経済価値ベースのソルベンシー規制の導入は未だ目途が立っていない。他方で自己規律の活用という新たな健全性確保の枠組みが台頭し,本来は自らの企業価値向上のために取り組む ERMを,監督当局が健全性規制の一環として活用するようになった。ただし,自己規律の活用には利点だけではなく,限界があることも見えてきた。
著者
植村 信保
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.598, pp.598_35-598_52, 2007

本研究では1997年から2001年に経営破綻した中堅生保について,各種の資料に加え,当時の経営者など関係者への大規模なインタビューを行うことで,各社が破綻に至った要因を格付けアナリストの視点から考察した。さらに,同時期の韓国生保の破綻事例についても調査を行い,日本との比較を試みた。一連の生保破綻については,バブル崩壊などの外的要因に求める見方が一般的だ。しかし,調査の結果,破綻は必ずしも外的要因だけで発生したのではなく,内的要因が重要な役割を果たした可能性が浮き彫りになった。いくつかの内的要因が破綻リスクを高め,その後,経営環境にストレスが生じた局面で各社の経営が悪化。さらに,いくつかの内的要因が危機認識の遅れや不適切な対応をもたらし,最終的に各社が破綻に至ったことが伺える。
著者
植村 信保
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.598, pp.598_35-598_52, 2007-09-30 (Released:2011-09-28)
参考文献数
8

本研究では1997年から2001年に経営破綻した中堅生保について,各種の資料に加え,当時の経営者など関係者への大規模なインタビューを行うことで,各社が破綻に至った要因を格付けアナリストの視点から考察した。さらに,同時期の韓国生保の破綻事例についても調査を行い,日本との比較を試みた。一連の生保破綻については,バブル崩壊などの外的要因に求める見方が一般的だ。しかし,調査の結果,破綻は必ずしも外的要因だけで発生したのではなく,内的要因が重要な役割を果たした可能性が浮き彫りになった。いくつかの内的要因が破綻リスクを高め,その後,経営環境にストレスが生じた局面で各社の経営が悪化。さらに,いくつかの内的要因が危機認識の遅れや不適切な対応をもたらし,最終的に各社が破綻に至ったことが伺える。