著者
植村 守 加藤 健志 三宅 正和 宮崎 道彦 関本 貢嗣
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.393-405, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
16

StageIII結腸癌に対する術後補助化学療法は,種々の臨床試験を経て意義が確立され,本邦のガイドラインにも標準治療として明記されている.治療レジメンに関してはオキサリプラチン(OX)の上乗せ効果が示されて以降は,ベバシズマブやセツキシマブといった分子標的治療薬の上乗せ効果が否定され,新たな治療レジメンの早期確立は難しい現状である.OX併用レジメンの有用性が示された一方,末梢神経障害の発現が臨床上大きな問題になっており,補助化学療法の有効性を担保しつつ,治療期間を短縮し有害事象の負担軽減のためにIDEAが計画され,補助化学療法が開始より3ヵ月経った時点で,治療レジメンや再発リスクによっては,治療を終了させたり,OXを中止させたりする根拠になり得る結果であった.また,IDEA試験の結果に示されたように,結腸癌術後補助化学療法における個別化医療の重要性が明らかになってきている.