著者
植村 興
出版者
大阪府立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.ウエルシュ菌エンテロトキシンに対するモノクローナル抗体の調整 精製エンテロトキシンの免疫で4種類のハイブリドーマを得, マウス腹腔に戻し, 得られた腹水からDEAE-Affi-Gel-Blue(Bio-Rad)クロマトグラフィーでモノクローナル抗体を調整した.2.ウエルシュ菌エンテロトキシンの化学修飾剤による切断と毒素フラグメントの分取及び得たフラグメントの1, 2の物理化学的性状分析精製エンテロトキシンを0.2MDTT, 0.5M2-ニトロー54オシアノ安息香酸(NTCB)及び4Mグアニジンを含む0.05M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)中で15分間室温に放置し, SH基をシアノ化した. pHを9.0に修正後, さらに6時間37°Cで反応させた. 切断反応は0.02M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に透析することにより停止させた. 切断毒素フラグメントの精製は, 0.02M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化させたDEAE-Sephacel(Pharmdcia)カラムに吸着させ, 0.05M塩化ナトリウム濃度勾配で溶出して得た. 精製フラグメントはSDS-PAGEで解析の結果分子量15,000(エトテロトキシン全分子は35,000)で, ショ糖密度勾配等電点電気泳動で分析の結果, 等電点5.58(同4.3)であった.3.フラグメントのエンテロトキシン作用における役割りの解析:^<125>I標識フラグメントを用いた分析の結果, フラグメントはエンテロトキシン作用の第一段階である細胞への結合性を保持していることが確認された. しかし第二段階である毒性は, Vero細胞から^<51>Cr及び^<86>Rb放出活性で調べた結果, フラグメントには, エンテロトキシンと異って, 認められなかった. 第二段階の毒性を有する分子は単離されておらず, 今後の課題として残されている.