著者
植松 大輔
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.313-319, 2000-06-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1

独仏をはじめ欧州諸国ではイチョウ葉エキス(GBE)が医薬品として承認され,脳梗塞後遺症などに対し広く使用されている.本研究では脳梗塞慢性期患者においてGBEの臨床症状と局所脳血流に対する効果を検討した.対象は慢性期脳梗塞10例,平均年齢71±9歳.ドイツ医薬品と同等のGBE240mg/日を4週間使用し,前後において臨床症状の変化および123I IMP SPECTによる局所脳血流の変化を検討した.その結果,脚梗塞慢性期の脳循環不全に伴なう頭痛,抑鬱,自発性の低下などに高い有効性が認められ,全体として10例中8例に何らかの臨床的な改善がみられた.局所脳血流は低血流部位および対側の対応する部位の小脳平均カウントに対する比(CI%)を用いて評価した.低血流皮質部位の脳血流はCI:70.0±8.8から77.2±8.1%(p<0.05)へと有意な改善を認めた.イチョウ葉エキスの臨床効果を裏付ける局所脳血流の改善効果が確認された.