著者
植松 希久磨
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学共通課程研究論叢 (ISSN:09167706)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.73-78, 2010-10-31

中国文明について、世界システムの枠組みから、中国史の中心─ 周辺の接合構造を捉えなおせば、そこに大きく中国史の歴史的な異文化接触の経験が浮かび上がってくる。現代世界システムとの関連の中で引き起こされている、中国文明の諸問題を考察するためには、それがいかなるものであったかを見ておかなければならない。中国は内陸アジアに成立し、単に農耕社会であっただけでなく、秦・漢時代には西域を支配して絹馬交易を行い、また広く東アジアの海域においても、朝貢貿易を展開した。では、秦・漢から隋・唐にいたる漢民族を中心に築いた中華帝国の時代を見てみることにする。