- 著者
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市原 恭代
- 出版者
- 工学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
2色覚者,多数派とは色の感覚が異なる者にとって赤は明るく目立つ色ではない。しかし情熱の色は赤だと知っている。また悲しみの色が青系の色であることもわかっている。それは後天的な学習によるものである。となれば色名による文字の刺激と色による色刺激では受ける印象に乖離があるはずである。また多数派と同士でも1型と2型では印象が異なることが予想される。この研究では色感覚が異なる者の色世界を感覚的に知るため、文字刺激と色刺激を用いてSD法による印象調査を行った。被験者,1群:1型2色覚者(以下P型強度と呼ぶ)20代~60代の男性13人,2群:2型2色覚者(以下D型強度と呼ぶ)30代~60代の男性9人,刺激:基本色名11色の色刺激と文字刺激因子分析を行った結果、今回の実験では最も因子負荷量が大きい値は全て正の値になった。第1因子は「にぎやかな、派手な、暖かい、明るい」第2因子は「濃い、重い、強い」第3因子はD型では「硬い」P型では「乾いた」の形容詞群に影響を与えていた。P型D型ともに第1因子は同じ成分であった。それぞれの形容詞群からそれぞれ第1因子に「感覚性」第2因子に「物量性」という因子名を付けた。P型D型ともに青の色刺激と青の文字刺激は似た傾向が出ていない。色刺激では第一因子さみしい、冷たい、地味な、暗いの感覚性因子が大きいが文字刺激ではこれらの因子は現れず、代わりに薄い、弱い、軽いの物理性因子が大きい。また、ピンクの色刺激と文字刺激も大きく異なる。ピンクの色刺激は第2因子物理性が大きい。しかし文字刺激では感覚性因子が大きい。また、緑は茶色系と似た傾向がでており、紫とも近い位置にある。P型に関しては、図3より青と緑とピンクのそれぞれ第1因子、第1,2因子、第1,3因子に大きく差が見られた。また、白、オレンジ、紫のそれぞれ第1因子、第3因子、第1因子にわずかながら傾向に差が見られた。