著者
浅生 貞夫 木下 陸肥路 佐々木 清文 植松 平八
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会論文集
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.T584-T590, 1965

目的 (1) 織機の発生音を解析して騒音対策の基礎データを求める.発生音の測定法は一台の織機を室定数の既知の工場に入れ, 指示騒音計で騒音レベルの分布図を求める.つぎに指示騒音計をオクターブバンドフィルタとレベルメータに接続して周波数分析を行なう. (2) 発生音の解析にもとついてピッキング機構と起動部歯車に防音処置を施し, その結果を測定して織機の騒音対策の可能性を検討する. 成果 (1) 騒音レベルは耳の高さで最高約90ホンである.織機の近くでは騒音は対角線上で大きいが, 少し離れれば点音源とみなせる.音圧レベルの周波数特性は周波数とともに増加し, 1600~3200c/secのバンドで最高となりつぎのオクターブバンドでわずかに減少している. (2) 音響出力をオクターブバンド別に求めた結果, 最大が1600~3200c/secで11mW, 400c/sec以上のバンドでは数mW, それ以下の音は10-1mWのオーダであった. (3) ピッキング機構の調整と消音後に, 高音域で4~5dB, 歯車部のしゃ音によって, 中高音域で4~8dB減音できた.したがって織機は完全な調整としゃ音によってある程度減音できる.