著者
中島 達夫 太田 計正
出版者
The Textile Machinery Society of Japan
雑誌
繊維機械学会論文集 (ISSN:18838723)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.T48-T55, 1966

目的 往復方式の摩擦試験機を試作し, その測定結果について考察する. 成果 シリンダ吊下型振子式により試料と摩擦面に往復方式の摩擦を与え, ストレインメータにより摩擦を検出記録する試験機を試作し, それを用いて 1. 糸の摩擦測定における履歴効果を調べた. 2. 荷重および接触糸本数が摩擦に及ぼす影響がマルチフィラメント糸とモノフィラメント糸で異なることがわかった. 3.サイジング工程におけるアフタワッキシングの平滑効果を調べた.
著者
川村 元二 池田 佐喜男
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会論文集 (ISSN:18838723)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7-8, pp.T160-T167, 1968-07-10 (Released:2010-09-27)
参考文献数
5

目的 布の密度, 表面のおうとつ, 潤滑剤の存在, 摩擦速度などが摩耗寿命に与える影響を実験的に検討する. 成果 (1) 密度の増加とともに摩耗寿命は摩擦子の種類を問わず一般に増加する. (2) 併用織物のおうとつが大きいほど摩耗寿命は短くなる.金属ブレードではこの傾向が著しい. (3) 構成糸が太くなるほど摩耗寿命は増加する. (4) 潤滑剤が水のとき, 1) 研磨紙摩耗で親水性繊維は摩耗寿命は減少するが, 疎水性繊維では増加する.2) 本実験の範囲内では, 金属ブレード摩耗で寿命の減少は認められなかった. (5) 摩擦速度が増加すると, 1) 研磨紙摩耗では摩耗寿命はほとんど変わらない.2) 金属ブレード摩耗では寿命は減少する. (6) 布の緊張度が増加すると, 1) 研磨紙摩耗では摩耗寿命は減少する. 2) 金属ブレードの摩耗では逆に増大する.
著者
浅生 貞夫 木下 陸肥路 佐々木 清文 植松 平八
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会論文集
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.T584-T590, 1965

目的 (1) 織機の発生音を解析して騒音対策の基礎データを求める.発生音の測定法は一台の織機を室定数の既知の工場に入れ, 指示騒音計で騒音レベルの分布図を求める.つぎに指示騒音計をオクターブバンドフィルタとレベルメータに接続して周波数分析を行なう. (2) 発生音の解析にもとついてピッキング機構と起動部歯車に防音処置を施し, その結果を測定して織機の騒音対策の可能性を検討する. 成果 (1) 騒音レベルは耳の高さで最高約90ホンである.織機の近くでは騒音は対角線上で大きいが, 少し離れれば点音源とみなせる.音圧レベルの周波数特性は周波数とともに増加し, 1600~3200c/secのバンドで最高となりつぎのオクターブバンドでわずかに減少している. (2) 音響出力をオクターブバンド別に求めた結果, 最大が1600~3200c/secで11mW, 400c/sec以上のバンドでは数mW, それ以下の音は10-1mWのオーダであった. (3) ピッキング機構の調整と消音後に, 高音域で4~5dB, 歯車部のしゃ音によって, 中高音域で4~8dB減音できた.したがって織機は完全な調整としゃ音によってある程度減音できる.
著者
岩田 昭治 竹内 一二
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会論文集
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.T233-T237, 1967

目的 ナイロンタイヤコードの高速撚糸において, 生産性の向上をはかり, あわせて今後のヘビーデニール化の傾向にそなえるため, 現在の操業回転速度 (デリベリースピード) を上昇させ, ラージパッケージ化することの可能性と, これに伴う諸問題を検討する. 結果 (1) 実用スピンドル回転速度は, 少なくとも下撚140mmφ リング×203mmリフトで7000rpm, 上撚177 mmφ リング×254mmリフトで5500rpmが可能である. (2) 糸の強力, 伸度への影響はない. (3) 巻量は現在の約2倍を確保することができる. (4) 撚糸張力の平均値と変動およびトラベラーの摩耗には問題点はない. (5) 電力消費は相当の増加が見込まれ, とくに高速域において考慮する必要がある. (6) スピードの増加とともに耐摩性の特殊材質を加えたHナイロントラベラーのすぐれた効果が認められた・
著者
中島 粂男 栗林 勝利
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会論文集
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.T249-T263, 1970

目的 第1報においては, 工程中にガイドローラーがなくダンサーローラーのみの系について, それの検出器としての動特性を周波数応答の立場から解析した結果を報告した。本論文ではガイドローラーが有限個ある場合のダンサーローラー系について, ガイドローラーがダンサーローラーの動特性に与える影響を周波数応答の立場から解析する。 結果 1) ガイドローラーが多くある場合のダンサーローラーの動特性は, 第1報の系の変数にガイドローラーの数だけ変数を加えた多元連立微分方程式によりあらわされる。したがって周波数応答は多元連立代数方程式を解く問題となり, 解は電子計算機により求める必要がある。 2) ガイドローラーの慣性モーメントがダンサーローラーに集中した仮想ダンサーローラー系を考え, これの理論をもとのダンサーローラー系に対する近似理論とした。そうすると解析表示されている第1報の理論式がそのまま近似理論として適用できることになる。この近似理論と厳密な理論とを比較した結果, もとのダンサーローラー系の最小共振周波数以下の周波数において, 近似周波数応答が厳密な周波数応答を良好に近似することを確かめることができた。 3) 使用可能周波数上限はダンサーローラーから一番離れた走行糸布についての張力の最小ジャンプ周波数である。そして近似理論から計算した近似最小ジャンプ周波数は, 上記最小ジャンプ周波数を良く近似することがわかった。 4) 使用可能周波数の範囲において, ガイドローラーがダンサーローラーのみの系に与える影響は, ダンサーローラーの慣性に全ガイドローラーの慣性を追加した場合の影響と見なすことができる。したがってダンサーローラーのみの系に比べて, ガイドローラーのある系の使用可能周波数上限は下がる。