著者
宗像 祥久 柴原 秀典 植田 愛美 川原 玲香 白砂 孔明 桑山 岳人 岩田 尚孝
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.111, pp.AW1-5-AW1-5, 2018

<p>【目的】卵胞液(FF)は卵子と顆粒層細胞(GC)の共通の環境である。我々は卵子の発生能力とその個体のFFの卵子成熟・発生支持能力の間に高い関係性があることを見出している。FF中にはエクソソームなどの細胞外小胞(EV)が存在しており,近年FF中EV内のmiRNAが卵胞内の細胞に影響するという報告があるが詳細は未だ明らかになっていない。本研究では卵胞発育に関与するFF中EV由来のmiRNAの探索およびその影響について検討した。【方法】(実験1)食肉センター由来ブタ卵巣の卵胞(直径1–3 mm)からFFを採取し,EV除去FFと対照FFを作成した。対照FF又はEV除去FF10%添加培地で卵子卵丘細胞複合体(COCs)を培養し,成熟率と発生率を評価した。(実験2)小(直径1–3 mm)又は大(5–7 mm)卵胞のGCのRNA-seqデータを用いて発現変動遺伝子群のIPA解析から上流因子であるmiRNAを推定した。又,大小卵胞FFからEVを抽出しsmall RNA-seqから得られたmiRNAとの比較で候補miRNAを推定した。(実験3)良好(GC数が多く卵子が高発育)と不良(GC数が少なく卵子が低発育)個体の卵巣からGCとFFを回収し,実験2と同様に候補miRNAを推定した。(実験4)対照FFとEV除去FF添加培地でCOCsを培養し,その卵丘細胞をRNA-seqに供して発現が異なる遺伝子群から上流因子であるmiRNAを推定した。(実験5)実験2–4の候補miRNAから共通miRNAを選抜し,そのmiRNAをEV除去FF添加培地に添加し卵子の能力に及ぼす影響を検証した。【結果】(実験1)EV除去FFに添加により卵子の成熟率と発生率を低下させた。(実験2–5)それぞれの結果の比較からmiR-27b,miR-17,miR-145を候補miRNAとして推定した。成熟培養へのmiR-27b添加は発生率を有意に向上させた。一方miR-17とmiR-145については胚発生率への影響は観察されなかった。</p>