著者
西谷 麟 植田 直樹 村上 暁信
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.783-790, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

建物が密集する都市部において緑を創出していく上で、公共空間を新たに確保することは困難であることから民有地緑化が重要視されている。そこで本研究では、民有地緑化の緑化計画と実際の緑化の実態を明らかにし、現行の緑化規定の有用性を評価するとともに望ましい誘導策について考究することを目的として、現地の状態、緑化空間の分類、そして3Dモデルを用いて緑視率とMRTを分析した。その結果、計画段階において緑の維持が困難であり実効果も低い緑化空間が見られた。現行条例はあくまでも緑化空間の面積基準に留まっており、本来期待されている景観の向上効果や都市環境の改善効果の低い、緑化基準を満たすための緑化空間が創出されうるという実態が明らかとなった。
著者
植田 直樹 村上 暁信
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.713-720, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
14

本研究の目的は,都市緑地の評価認証制度と緑化条例等との相補関係を明らかにすることである。近年,都市緑地の評価認証制度がいくつか開発されており,企業活動においても利用される機会が増えているが,緑化誘導のための緑化条例のような公共関与の施策と認証制度の関係は研究がされていない。そこで実際の認証取得事例を用いてそれらの評価項目とその内容を分析した。その結果,緑化条例を満足するだけでは認証を取得することはできないこと、そして緑化条例は事業単独での緑地の価値発揮を誘導するものであり,緑地の複合的な価値や緑地の利用価値の発揮については評価認証制度が担うという相補関係を見出すことができた。またそうした相補関係の今後の展開には複数のパターンが存在することが検証できた。それをもとにこれからの緑化条例に関する議論が可能になることが明らかになった。